サプライズな夜

 今日、6月1日は、母の誕生日。昨日の夜、母から電話がかかってきて、「明日、どうせあんたが(誕生日のお祝いの)電話してくるやろうおもうて、今日かけといた。」と意味不明の発言。あとで夫に、どういうことやと思う?と訊いてみると、「それ、電話代の心配や。」
親というのは、どこまでも子供の心配をしてくれているものなのですね。プレゼントも用意してない娘のことを、そこまで思ってくれて、ありがとう。でもやっぱり今日は今日で、電話をかけてしまったけれど。    

 昨日の夜は楽しかった。ご近所に住む、Fさんご夫妻がきてくださいました。
 ここに書いて良いのかどうか・・・Fさんとはちょっとおもしろい出会いでした。5、6年前のある日、うちの前を通りかかったFさんご夫妻が、ちょうど庭に出ていた主人に、「あのー、・・・お宅を見せてくれませんか。」と声をかけてくれたのでした。このときのことを、Fさんは今でも恥ずかしそうに話されますが、私たちにそんなこと言ってくれた方は、後にも先にもFさんだけだったので、とてもうれしい出来事でした。
     
    

 そして昨日の会では、いろいろな偶然がありました。Fさんが持ってきてくださったワインが、この間、旅行に行ったモンテプルチャーノの街で、私たちが見学させてもらったGatta Vecchi ガッタ・ヴェッキというカンティーナ(ワイナリー)のものだったのです。しかもそこのワイナリーで夫が試飲させていただいたのと、まったく同じラベルのもの。びっくりしました。イタリアのワインを、と思って選んでいて、モンテプルチャーノの代表ワインである、Vino Nobile di Montepulciano の、Nobile(高貴な、を意味する、ノーブルにあたる言葉。)という言葉が気に入って決めて下さったのだとか。荷物の心配をして、そのワインは買って帰らなかったので、一瞬、「なんで知ってたのかな?」と思ったくらいでした。
     

 そして、Fさんのご主人は70年代の、イタリアのカンツォーネが大好きな方なので、(このあたりも、私はすごい偶然だよなあ、と思うのですが。)昨日も、いらっしゃる前に、気に入っていただけそうなCDを夫が用意していたのでした。BS日テレでやっている、「小さな村の物語」という、イタリアの、名も知られてない村に住む人たちの生き方を描く番組があるのですが、(今日も夜8時から観ました。)「あの番組の主題歌になってる、オルネッラ・ヴァノーニの歌がいいですよねー。」と話してたら、かけていたCDから、いきなりその曲が流れ出して・・・ほんとにこういうことってあるんですね。こういう出来事は、ずっと記憶に残ります。
 Fさんと知り合えたことは、大げさにいえば運命みたいなもので、きっと私たちと知り合うことになっていた人たちだと思っています。だから、初めてうちの前で声をかけてくださったことも、私たちがトスカーナを旅してカンティーナをのぞいたことも、昨日、まさにそのワイン蔵で作られた一本が届けられたことも、突然、ステレオからオルネッラ・ヴァノーニの歌が聴こえてきたことも、偶然ではなくて必然で、ひとつにつながっているのだと感じます。
 自分の歩いている人生が、ちょっと普通ではないことはわかっていて、ほんとにこんなことばかりしてきて良かったのかな、と思うことがあります。でもこんなうれしい驚きがが重なると、心強くなる。それで良いのですよ、としっかりとだれかが後押ししてくれているような気がして。