どっちもどっちな話

      

 今朝、夫と一緒に買い物に行ってたア○キスーパーでの出来事。
 私がパンの売り場で商品を選んで次の売り場に移動していたら、私と同じくらいの年齢の女性が、通路にカートを通れないように置いて、商品を物色していました。私が通りたいことに気づくかな、と思ってしばし待つのですが、全然気がついてくれないので声をかけようとしたその瞬間!夫がその人のカートを足で蹴ったのでした。
 あらー、やっちゃった!と私は焦りました。とても喧嘩っぱやい夫なのです。当然(?)その女の人は怒りました。「足で蹴ることはないでしょ!」そうですよね、足で蹴ることはないですよね。近くにいたのが私だったから、どうも私が蹴ったと思っているようです。家族のやったことだから私にも責任があるの?謝ろうかな、いや、私がやったわけではないから、蹴ったのはこの人ですよ、ひどいですね、と言って夫をつきだそうかな、でも通れないようにしてるあんたもよくないよ、とほんの1、2秒の間にいろんなことを考えました。で結局、私は謝りませんでした。通れなくしていたその人も悪いと少しは思っているのか、ずーっとぶつぶつ文句を言ってますが、私の目をちっとも見ないのです。それにこの場合、やっぱり私はまったく悪くありません。カートの置き方の悪いその人と、蹴った夫が悪いのです。どちらかというと、私は濡れ衣を着せられた、被害者です。
 なのでそのままその場を立ち去りました。少し離れてからも、すごく視線を感じるので、チラッとその人のほうを見ると、まだ私のことをガン見しています。私じゃないって。
 別の売り場で後味悪く買い物していたら、夫がやって来たので、店内にもかかわらず、あんたがああいうことするから、私がやったと思われてもんのすごいにらまれたし恨まれたよ、と言ってやりました。すると夫はすごく機嫌を損ねて、車に帰って行きました。
 買い物を済ませ、私も車に戻り、さっきの話をしようとしたら、夫がさっきのオバサン、あいつヘンだったよ、と言いました。どういうことかと訊くと、あのカート蹴り事件の前、私がパンを選んでいたときから、ずっと夫はその女の人を観察していたそうです。その人はワゴンに盛られた食パンを、全部同じパンなのに何を見ているのか、手にとってはワゴンに戻し、また別のを手にとっては戻しをやっていて、その間に、もう何個もの食パンを地面に落としてクシャっとさせていたそうなのです。それも一度や二度でなく何度も。地面に落としては拾い、また別のパンを物色して落として、とやっているのを見て、もう夫はムカムカしていたのだそうです。
 そこへやってきたのが私で、おまけにカートは人が通れないように置いてあったから、もう腹が立って蹴ったのだと言いました。でもやっぱりね、蹴るのは良くなかったと思う。
 話を聞くとまだ続きがあって、そのオバサン(私もオバサンだけど。)は私が立ち去ったあとも、私をずーっとにらみながら(だから私でないって。)ぶつぶつ言っていたそのセリフが、「食べ物を足で蹴るなんて!」という言葉だったからさらに夫はキレて、「食べ物をって言うんなら、なんでお前はさっきからボトボトとパンをそうやって地面に落とすんだ!」と言ったのだそうです。いや、「言ってやった。」と言いました。もっとマシな言葉で言ったのかと思ったら、ほんとにこの通りに言ったらしい。
 私の知らない話の前後をぜーんぶ聞くと、まあそれならどっちもどっちだな、と思いました。どっちもどっちというか、あっちもあっち、かな。でも夫はあそこで足蹴りせずに、パンを落とすことも、カートの置き方が悪いことも、もっと冷静に普通に注意してやったら、ああいう人には一番こたえるはずなのです。しかしネがイタリア人の夫は激情型で、とにかくこういう場合、爆発させないと済まない人です。ドカーンとやって、はい、終わり。後腐れはありません。

 午後からトヨタ博物館へ、超クルマ好きな男の子といっしょに行って来ました。イタリアの小学校に通っています。彼もまた、日本人でありながら、イタリアで人間形成がなされていっているようでありました。夫のように・・・
合掌。