スポンティーニ

       

 今日が地球最後の日。だとしたら、あなたは何を食べますか?
というアホな質問を、わりと頻繁にしあっているのが、私たちアホ夫婦である。で、だいたい答えはいつも、「最後だからって・・・べつに、フツーに家で食べるごはんでいいけど・・・あっ、でもお昼ごはんは、アレを食べたい!」

 私たちがミラノに行く理由は、いたってシンプル。スポンティーニのピッツァが食べたい!ただそれだけ。「ミラノに行ったときは、やっぱりレッスンに通ったり、スカラでオペラを観たり、されるんでしょう?」と、私たちのことを大きく勘違いされている方が多いが、夫と一緒にイタリアでオペラ観劇など、これまで一度だってしたことがない。美味しいものを食べるため、イタリアへ行く理由といえば、それに尽きる気もする。

      


 で、スポンティーニ。地球の歩き方にも載っているし、ともかくミラノでは有名な店だと思うので、あらためて紹介するまでもないですが。
いわゆる丸いピッツァではなくて、カットされて出てくるぶ厚いピッツァで、ファーストフード的な感覚で食べられているような気もしますが、あなどることなかれ、その美味しさは、これを食べたあとは、たとえ店を出るときに、つまづいて転んで、どこか打ち所が悪くて死んでしまったとしても、べつにもう思い残すことなんてないからいいや、と私はいつも思ってしまうくらい。
このお店での注文が、これまたシンプル。ピッツァのNormale(普通サイズ)か、Abbondante(大盛り)か、どちらか訊かれるのみ。一応、メニューにはラザーニアもあって、まれにラザーニアを頼んでいる人も見かけますが、まあたいていどの人もピッツァ。トマトと、モッツァレッラと、アンチョビのシンプルな組み合わせで、こう書くといわゆるマルゲリータっぽいんだけど、それとはまた別物。たしかにほかでは味わえないものだと思う。いつも私が注文するのはNormale なんだけど、この間は、あまりにも勢いよくがっついていたのか、食べ終わったときに、「もう一切れ、いくか?」とおじさんに訊かれてしまったほどだが、残念ながら小柄なニホンジンは、そんなに食べれないアルヨ。日本に帰ってから、夫が、「だからどっちかひとつをAbbondante にすればよかったじゃん。」という、すばらしいアイデアを思いつき、今、モーレツに悔いている。

      

 場所は、コルソ・ブエノスアイレスという、比較的庶民的なお店の立ち並ぶ、ミラノでも有名なショッピングゾーンがありますが、その大きな通りから少し入ったところ。地下鉄だと、ロレート駅とリマ駅のちょうど中間あたりに、お店と同じ名前のスポンティーニという通りがありますから、そこを入ればすぐ見つかります。赤い「S」のサインが目印。


         

 夜もやっているし、お昼は11時45分開店で(さすがはジャッポネーゼ、細かく刻みます。)、12時過ぎにはもうお店はいっぱい。12時半だと行列。お財布にもやさしいお店です。Normale 2枚と水、夫がワインを飲んで、13ユーロだったと思う。そういう意味でも、ミラノでは貴重なお店。