静かな週末

 台風は来なかった。やれやれ。お騒がせだよなあ、と思ったけれど、おかげでやっと夏のままのすだれや日よけが片づけられたのだもの、感謝しなければ、というもの。

 それにしても、部屋に居ても何か寒い。「こさむい」という表現がぴったりのお天気だと思う。なのに台風だったんだよな。もういつだって、どこだって異常気象だね。

    


 スーパーで、泥つき葉つきにんじんが売られていました。にんじんサラダは、もう寒くて欲しくない。あったかいほうがいい。厚手の鍋に、にんじんとにんにく、オリーヴオイルに塩を入れて弱火にかける。火がとおってやわらかくなるまで。心配ならほんの少しお水入れてもいい。(蒸し煮ってやつですね。)最後にコショウをひくだけ。バターのでないにんじんのグラッセみたいな、にんにく風味の。ブロッコリーでもカリフラワーでも、小松菜でも。冬はよくこの方法で野菜を食べます。

 にんじんが美味しかったのはプーリアだった。びっくりした。にんじんだけじゃない、野菜全部、何を食べても、何もせず、そのままでも味が濃くて、滋味あふれる、というのはこのことだと思った。命をいただく、みたいな。まっとうな味、ってこういうことか。

 バターとかクリームを使った、北の料理が苦手です。美味しいと思っても、一口か二口でもういい、おなかいっぱいになる。どういうわけか、プーリアの食材は、パンも野菜もオリーヴも、それから作ったオリーヴオイルも、私の口に合うものばかりでした。乾燥した大地にカッと照りつける太陽を連想させる、プリミティーヴォのワインも美味しいと思う。元気なうちに、「プーリアの食べ物だけが目当て!」という旅をしてみたい。