乾電池の旅

 今朝、耳元で鳴る目覚ましを、もそもそとベッドから手だけ伸ばして止めて、とりあえずテレビをつける。目が開けれないので(←眠くて)、しばらくはラジオ状態のテレビ(←音声を聞くのみなので)に耳をかたむけていると、ひどい揺れだった、とか、何とか。かれこれ一ヶ月になるものね、と最初はベッドのなかで思ってたんだけど、何か様子が違うらしい。

 震災後、最大の余震が昨夜遅くに起こっただなんて。こころっち、大丈夫かなあ・・・と、岩手に住む友人のことを想う。着替えを済ませてリビングに下りると、ちょうど携帯がピコピコしてて、メール着信。わっ!こころっちから!

 震災後、停電がつづいた幾日をのりこえ、やっと少し生活が戻ってきたところであっただろうに、昨夜の余震でまた停電になったそうです。乾電池、送って〜!と。よっしゃーっ!まかしとき!!

 「今日は乾電池、買いに行くわ。」と夫に宣言すると、「うーん、けっこう難しいと思うけどな。」と言われる。単1とか単2とか、大きい電池って、地震のあと、オレ、見たことないよ、って。わが夫君、意外としっかりチェックなさってるのねえ。

 が、大丈夫よ〜、もう一ヶ月も経つもん。と私は安請け合い。


 しかーーしっ!!!ないのだ、これが・・・

 単3と単4はすぐに見つかりました。が、スーパーも、家電量販店も、ドラッグストアーも、100円ショップも、大きい電池、売り切れ&いつ入荷するかわかりません。がちょーーーん!

 やみくもに探しても、ムダ足を踏むばかりなので、めずらしく冷静に考えることにしました。さて、どこに行けば売っているでしょうか?とーっても売れてなさそうな(失礼。)店なら残っているのでは?という結論に至り、近所のいけてないスーパー(またまた失礼。)に電話。(このスーパーがどれくらいいけていないかと言うと、クリスマスの時期、「メリークリスマス!」という宣伝と共にそれ風な商品を売りながら、その隣りに、「夏はやっぱりゼリー!」という張り紙が平気で張ってあったりする、あるいは、「下仁田ねぎ」を、「下ネタねぎ」、と書いて売っていたりする、私にとっては愛さずにはいられない、突っ込みどころ満載のスーパーです。)が、ここにもなし。

 では、とタウンページを操りながら、昔ながらの小さな町の電気屋さんみたいなところをあたることにしました。何軒電話をかけたでしょうか?あるお店では、「あのー、そちらに単1と単2の乾電池って、置いてませんでしょうか?」とまだ私が言い終わらないうちに、「がっはっはっはー!」と大笑いされて、「いやあ、すいませんねえ、切らしていて、もういつ入るのか、わからんのですわ。」と、おじさんの対応は何を今頃?風。

 その後もトライしつづけた結果、単2だけはあります、というお店を見つけ、「すみませんが・・・」と震災で停電している友達の事情を話し、買いに行きますから取っておいてくださいとお願いする。
 残るは、単1。おそるべし単1電池!

 さらにその後。「若干、入荷いたしました。」という店を、わりと近所に見つけ、そこへ走る。単1と、そして単2もある。ああ、どうしよう・・・単2は取っておいて、と別のお店にお願いしたのに、目の前にある。どうしよう・・・取り置きをお願いした店は、じつは少し離れている。その場で、「近い店から順番に電話しろよ!」って自分を責めたんだけど、いつもにも増して、頭の中はとっちらかっておりまして。早く買って、早く送っちゃったほうがいいか・・・で結局、単2もそこで買っちゃった。

 家に帰って、単2電池の店に再び電話。「あのー、たいへんに、たいへんに申し訳ないのですが・・・単1も単2も見つかったので・・・」と別の店で買ったことを話し、謝ったところ、そのお店の方は、「いいんですよ、お友達も頑張っていらっしゃると思います。どうぞ、送って差し上げてください。こういうときですから、みんなで何でも協力しないと。また、今後ともよろしくお願いします。」とおっしゃってくださって。きゃあ!何という感動!胸があつくなって、お礼とお詫びを言わないといけないのに、一瞬、言葉が出なくなりました。「オレたち以外の日本人って、ホントにみんないい人ばっかりだよな。」とは夫談。乾電池の旅、ここに極まれり、です。

 どれくらいで届くでしょうか?停電のために送った乾電池ですが、届くよりも前に、早く復旧してほしいです。

 ひさびさに感じた、この感覚は・・・達成感?