かもめ食堂

 ヒアシンスの水栽培、球根から芽が出てきました。

水と光だけですくすくと育ち、花を咲かせるほどのパワーがこの球根のなかには秘められていると思うとワクワクします。花が咲くのも楽しみなのですが、それまでの成長の過程のほうが私はずっと楽しい。
 さて昨夜、BSでだったと思いますが、「かもめ食堂」という映画を観ました。すごく良かった。激しい感動ではなくて、観てる途中も観たあともふつふつ、フクフクと幸せな気持ちが盛り上がってきて持続する感じ。日本の映画ってあまり観ないのです。しかも、かもめ食堂ってタイトルで、たぶん、ひなびた漁村の小さな食堂の話しかなんかだろうと勝手に決めてたのですが、これが違った。舞台はフィンランドの町。小林聡美さん扮する女主人の経営する、小さくてとてもかわいいお店が舞台です。あとでていらした女優さんが、片桐はいりさんともたいまさこさんという、とても個性的な方々。まずキャストだけで私的には大合格です。
 まず特筆すべきは、北欧らしい、シンプルでモダン、でもかわいらしい雰囲気のインテリア。お店のオープンキッチンや使われている食器や小物に目が釘付けでした。この「北欧らしい」というのは日本人の思う北欧らしさなのだと思う。監督さんもスタイリストさんも日本人だったようだし、観ていて「外人の感覚だ」とひっかかるところがなく、すーっと観れたので。あと、このかもめ食堂では、おにぎりやら、トンカツ定食やら、おそらく唐揚げらしきものやら、焼き鮭なんかがメニューとしてでるのですが、ああいう食べ物を初めて目にする外国の人がこの映画を観たとき、どう感じるんだろうと思いました。映画全体を通して、なんとはなしに包まれているユーモアみたいなもの、あれは伝わると思う。おにぎりをほお張ったときの、パリッという海苔の音、あれはおそらく分からない。おにぎりと一緒に出されたほうじ茶の香りや味まで、私の鼻や口の中には広がった。ああいうのは外国の人には分からないだろうなあと思ったし、なんだか日本人でよかったなあ、としみじみと思わせてくれた映画でした。
 新年から静かで明るい感動を覚えました。そしてすっかりかもめ食堂に触発され、今日のお昼は牛すじのどて煮とおにぎりで、夫婦大満足。