ピノッキオ

cucciolo-mayu2009-01-08

 昨夜、BSでピノッキオをやってました。ロベルト・ベニーニ主演で、たしか7、8年前のイタリアの映画です。
 ベニーニの演技はどの作品を観ても本当にすごいと思います。彼が登場しただけで、(最近では彼の名前をきいただけで)プッと笑いがこみあげてしまうくらい、私にとってはコミカルな俳優さんといったらベニーニです。
 だからピノッキオは彼にピッタリ、絶対いいに決まってる!と思ってました。が、テレビつけたらベニーニが日本語でしゃべってるじゃないですか!吹き替えだったのです。これはいかん。夫にどうにかしてイタリア語で見れるようにしてくれ、と頼んだら、ボタンひとつで原語に切り替わりました。便利な世の中ですね。字幕もないので画面に集中できるし、もちろん全部はわからないけれどせっかくのイタリア語をたっぷり聞こうと思って、耳ダンボ(←古っ。)でした。
 ピノッキオは私にとっては、とても身近な本。まだ日本でイタリア語を習っていた頃、ピノッキオを勉強のために訳したことがあります。サボってばっかりだったから、たしか3年くらいかかりました。

 そのころ、ひとつひとつ時間をかけて辞書を引いて調べた言葉が、昨日は私の耳の中に次々ととびこんできました。耳から入ってきて、胸で聞く感じ。本の中の活字でしかなかった単語は、あれからイタリアで過ごした時間や体験によって、肉がついて性格までもった生き物となって、私のなかにありました。もちろん相変わらず勉強不足だから、ぼんやりとした輪郭のままの単語も山ほどありましたが。
 さらに続けて聞いていると、イタリア語の歌うような響きやリズム、俳優さんの話す声のトーンや抑揚が、音楽のように、心地よく聞こえてきました。とても癒されるのです。私の耳だけじゃなくて、脳や身体や心がそういうものをすごく欲しがっているのです。
 ゴクゴクと水を飲み干すように、大好きな言葉をむさぼり聴きました。
私、イタリアに飢えています。