イタリアのゴミ問題

 イタリアがいつでもどこでも美しく、素晴らしいわけではありません。
 だいぶん前に、ナポリでゴミが山ほど回収されずに残ったままで大変な問題になっていたのを、日本のテレビでも連日のように報道していたから、いろんな人から「やっぱりイタリアってゴミすごいの?」と訊かれました。ちょうどこのニュースが流れていた少し前に、ナポリに行っていたのですが、テレビで見た映像のようなことはありませんでした。私たち観光客が行くような場所で、あのような光景をみることはないけれども、少し郊外の、人々が普通に暮らしている地域に行くと、あのゴミの山があったのではないかと思います。しかしいずれにしろ、ナポリはたしかにゴミが多い。駅前のホテルに滞在していたから、夜になって、駅のまわりで商売をしていた物売りの人たちが引き上げ、昼間のカオスがウソのように消えてしまったあとは、紙くずやら何やらいろんなゴミが散在していて、まさにツワモノドモが夢のあと。たぶん夜の間に清掃車が来て一度きれいにされ、また朝が来れば、物売りの人やいろんな人たちがやってきて、され放題の一日が始まり、夜にはツワモノドモ状態になって・・・のくり返しなんだと思います。
 でも去年の9月、シチリアに行った時の、カターニアの空港はすごかった。

まず空港の入り口付近の床一面が、タバコの吸い殻でおおいつくされていて、ひいた。ちょっとお茶を飲もうにも、バールのテーブルの上だって恐ろしく汚くて、おまけにすぐ隣のテーブルで、運んでいたワインのビンが割れてさらに大惨事に。食べたり飲んだりしたあとのゴミを捨てるにも、もうゴミ箱はいっぱいになっているから、どこにも捨てるところはなく、仕方なくみんなそのまま置き去りにしていくので、みるみるゴミは増えていくのです。しかも誰もそんなことは気にもしていない様子。テレビで見た、あのナポリの光景が頭にうかびました。
 一刻も早くここを発ちたい、と思いながら、ベンチに腰掛けて忍の一字で待つ私の目の前が、これまたゴミ。(↓ここ、荷物おくとこです。)

 イタリア人って自分の家はぴっかぴっかにしているのです。でも一歩外に出れば、おかまいなしになる人が実に多い。犬のう○ちはもちろんそのまま。(♪下をむ〜いて、あ〜るこおおお♪←イタリアでは鉄則です。)ベランダからバシャーっと水を捨てたり、多少のゴミはパタパタ払い落としても平気。階下の人に迷惑がかかるのでは、と日本人なら当然考えそうなところですが、彼らにとっては自分の家以外はただの「外」なのです。
 政治やお金の問題や、なんやかんやが絡んでのゴミ問題なんでしょうが、そこらへんの感覚の違い、意識の低さみたいなものが根底にあるからではないかと、私は思います。