マルヤス味噌のよもやま便り

 今日は天気予報がはずれて良かった。洗濯物がたまっていたので。
 ポストをのぞくと、見覚えのある封筒が入っていた。あ、来た来た、と手にとりながら、もうそれだけでプッとふきだしてしまう。マルヤス味噌は、愛媛県の、夫の地元にあるお味噌屋さん。お中元とお歳暮の時期にあわせて、通販のカタログが送られてくるのだ。
 そのなかに一緒に入ってくる、よもやま便りという、お便りがとてもおもしろい。今どきめずらしく手書きで、文章や写真など、記事の配置とか配分とか、おそらく何も決めずに書き始めてしまったため、きゅんきゅんに詰まってしまっている場所とか、だんだん字が小さくなっていったりしてるところとか、書ききれなくなって、えっ?続きがここへ飛ぶの?という風になってしまっていたりとか、昔、小学校のとき作った学級新聞のような仕上がりで、毎回とてもとてもほほえましく、あたたかい。絶対、パソコンなんかでは出せない味なのだ。
 内容がこれまた素晴らしい。作っていらっしゃるのは、社長さんの奥様(と思われます。)の、カズエさん。地元のちょっとしたお出かけスポットや、マルヤスさんの商品を使ったカンタン料理レシピの紹介だったり、コラムやぶにらみでは、旬の話題や社会問題なんかを取り上げ、庶民の目線から、なかなか本質をついたコメントをのせていて、カズエさんのまっすぐなお人柄をうかがわせる。(お会いしたことないので、実際どんな方かは知らないのだけれど。)
 今回届いたよもやま便りを、夫が先に読んでいて、「ぜひ、読んだほうがいいよ。しかし四国は・・・やっぱり・・・なんかその・・・」というようなことをボソッと言った。
 私も読んでみて、夫がウケていたのはここのところだ、とすぐわかった。それが「雑談おもしろコーナー」という、わりとよもやま便りのなかでは大きくスペースを占めるコーナー。一部、ご紹介。
・3度のめしより好きなものは何、と私が聞くと、「4度のめし」と答えた友人。
・近所に住むおしゃれな奥さんが、母と同じエプロンをしていた。母が父に「あの奥さんといっしょのエプロンで良かった。」と言うと、父は一言、「相手の身にもなってみろ。」
・センスの悪い服ばかり買ってくる主人に文句を言うと「お前を選んだのも俺だぜ。」と言われた。
・「家庭の医学」は持っていると安心だが、読むと不安になる。
・小学生のとき、母に「勉強しなさい。勉強があなたの仕事でしょう!」と言われ、「仕事は家庭に持ち込まない主義だから。」と言ったらもっと叱られた。
・松茸の土瓶蒸しがなかなか来ないので店員に尋ねたら、「ちょっとまつたけ。」と言われ、思わず「はよ、しいたけ。」と切り返した。

 ありがとう。なごみました。
 
 私が帰省した折、高松駅に降り立って一番に感じるのは、空気がゆる〜りとしているということだ。このゆる〜り感は、四国全体を包んでいると思う。そのゆる〜りのなかで私は育ち、それこそが本来の私のテンポだった。なのに地元を離れてからの時間のほうが長くなるにつれ、身についていたはずのテンポはくずれてしまった。里帰りするたびにいつも思う、いかんいかん、私、また急ぎ足で、がんばっていた、と。
 よもやま便りには、このゆる〜りがいっぱい詰まっている。だから封筒を開けて、商品カタログより何より先に、よもやま便りを開き、四国の空気を、匂いをうーんとかいで、自分をリセットする。