気になる家

 

 あまり人に言うことではないのかもしれませんが、私には気になる家、というお宅が何軒かあります。うまく説明できないのですが、住んでいる方の趣味とかこだわり、センスや人柄、暮らし方などによって、庭や建物が素敵に育てられている、ということが、私には見ただけで、そばを通っただけで伝わってきて、ぐぐっと惹きつけられる何かを感じるおうちです。(簡単に言うと、オーラ、かな?)そしてそのおうちを包む空気や、家や庭全体がかもし出す雰囲気を、私が好きと思うかどうか、という、じつに一方的な判断で、「私の気になる家」は決められていきます。そういうおうちには、あたたかい愛情みたいなものも、しっかり流れていると感じます。
 お昼過ぎに、ご近所のFさんが、我が家を訪ねてくださいました。玄関で渡された小さい手提げの中を見ると、ぶどうが一房、入っています。Fさんが、「うちのななめ向かいに、ぶどう棚があるお宅があって・・・」と言い掛けたところで、私が言葉をさえぎってしまいました。「知ってます!すっごく立派なぶどう棚ですよね!そのぶどうの房に紙袋かぶせてるでしょ!この間、Fさんちに伺うとき、見ましたよ!」と、機関銃のようにしゃべってしまいました。
 このぶどう棚のお宅は、ずーっと昔から、私の気になる家の一軒でした。いったいいつからなのだろう、と考えると思い出せないのですが、学生時代にそこのすぐ近くにしばらく住んでいたことがあるので、そのときから?ということは20年くらいまえから?いや、今の家に越してくるまえくらい?わかりません。
 ともかく今日いただいたぶどうは、そのぶどう棚のお宅からFさんがいただいたもののおすそ分けだったのでした。すごく甘いのよ、というFさんの言葉どおり、ほんとに甘い。おうちで作ったぶどうがこんなに美味しいなんて!
 そしてFさんならわかってもらえると思い、「私、あのおうち気になる。」と告白しました。するとFさんも、そうでしょ?!気になるでしょ?気になるのよ!といった感じでした。やっぱり。よし、通じあった、と思ったのでした。
 この気になるおうちは、ぶどう棚が立派だから気になっていたのではありません。でも何で気になっていたのか、うまく説明できない。前を通ったときに、いつもきちんとしたお宅だな、という印象がありました。勝手な想像ですが、外国で培われたセンスを持っている方の住まいなのではないかと・・・そして、一方的に憧れを抱いていたお宅でとれたぶどうが、なぜか今、私の目の前にあることの不思議。まだそのおうちの方とは知り合ってもいないのに。(って、この先もずっと知り合わないか。)
 じつは今朝はもう一軒、少し遠くにある、超気になる家の横に車を停めて20秒くらい眺め、はあ〜、と、ため息をついていた私。ここのお宅は、庭が素晴らしいので、ひそかに先生んち、と呼んでいる。
 しかしここまでくると、私、ストーカーと大差ないではないか。やばい?通報される?