台風一過

      

 ずいぶん大人になるまで、私は「台風一過の今日」というフレーズを、「台風一家の今日」だと思い込んでいた。台風の過ぎ去った翌日、よくニュースなどで、「台風一過の今日」というアナウンスをはさみながら、台風の後片付けにおわれている人たちの様子が映し出されるのを見て、「台風一家の人たちは大変だなあ。」と思っていた。大変な勘違いである。この話を夫にすると、夫は子供の頃、台風などで電車が不通になりました、というフレーズを、電車が普通になりました、というふうに聞き違えていて、いつも「普通だったらわざわざ言わなくてもいいのに。」と思っていた、という話をする。二人とも、同じ話を同じ相手に何度もするのは、年をとった証拠なのだ。
 そんな台風一過の今日、私も大風で飛んできた庭じゅうの葉っぱを掃いたり、植木を元に戻したりと、大変な思いをする台風一家の一人であった。フェイジョアの被害も、風向きのおかげでたいしたことなく済んだ。被害としては、昨日の夜帰ってきた夫の傘のホネが折れているということだけだが、本人は気づいていない。

 今日は木曜日だからピッツァの日。これから夜までレッスンなので、サラダとトマトソースだけ用意する。生地は機械任せなのでらくちん。