意外と大問題

 ウソみたいなホントの話。ずーっと昔、夫のある知り合いが、イタリアを旅したときのできごと。

 その日、知り合いは、ヴェネツィアからミラノに向かおうとしていた。が、あいにくその日は、イタリア名物、ストライキの日。電車はないし、足止めを食らって、さてどうしたものか、と困っていたとき。「ミラノに行きたい。」を連発する彼女に、「ミラノに行くなら、あのバスだよ。」と、それはまるで天からの声。迷わず彼女はこのバスに乗り込み、一路、ミラノを目指した。

 果たして彼女がたどり着いた場所は・・・・はて?大都会ミラノが、こーんなド田舎でいいのか???・・・おかしい・・・
 Milano に行きたかったのに、彼女が人から教えてもらったバスに乗って着いた先は、Mirano という、ヴェネツィアの近くに実在する(らしい)、ほんとーに小さな村。Milano と、滑らかにLを発音すれば良かったのに(いや、正しく発音しても、この日は移動手段が見つからないことは同じだったはず。)、たぶんイタリア語だから、と、ラのところを巻き舌で発音してしまった(であろう)ために起こった不幸。(今では笑い話だけど。)

 日本人にとってはRだろうがLだろうが、どっちもラ行で大差ない、と思っちゃうんだけど、彼の地ではこれが大問題。レッスンで、RもLもごっちゃに発音する生徒さんの歌を聴くたびに、この Mirano に連れて行かれてしまった話を思い出して、私は笑いをかみ殺す。