うちのお雑煮

 お正月はとっくに終わり、今日は成人の日。成人式をむかえられたみなさま、おめでとうございます。(私は今年、2度目の成人式。トホホ・・・)それから今日は、鏡開き。神棚も祭らず、鏡開きなんて何の関係もない我が家ですが。
 よく、各地のお雑煮の特集などでは、決まって変わり雑煮として採りあげられ、例外なく気持ち悪がられてしまうのが、私の地元、香川県東部の、あん餅雑煮です。
 味噌仕立てのお椀に、餡入りのお餅が入りますが、何か?
  
 子供のころ、祖母がまだ生きていたころには、具に大根とさといも、にんじんが入っていました。オレンジ色の西洋にんじんではなくて、金時にんじんの赤が、お椀の中で新春のおめでたさをかもしだしていましたが、「腹に入れば、何でもええ。」というざっくばらんな母親によって、にんじんの赤は省略され、大根とさといもが白味噌のなかに浮かぶ、地味〜で愛想のない雑煮に変化を遂げました。
 最初のころはまだきれいなもんですが、食べ進むにつれて、みなさんがご心配のとおり、すごいことになっていきます。

   

 お餅に食べおよべば、当然、味噌汁のなかであんこが「こんにちは。」となりますし、それと同時にお口のなかでは、味噌のほど良い塩加減と、あんこの甘さがあいまって、絶妙のハーモニーをかもしだしております。お餅を噛んで、あんと餅がが口に入ったら、同時に味噌汁を流しいれて、口の中でこの甘辛のハーモニーを自分で作り出す必要があります。
   
 私は出来るだけ長く、この幸せな時間を愉しみたいので、味噌汁が少なくなってきたら、あんの溶け出してしまっているお椀にさらに味噌汁や大根なんかの具を足して、ちびちびあん餅をかじっては口のなかでミックス、の繰り返しを愉しみます。

 この日は写真を撮りながら食べたせいか、いつもよりきれいなお椀のなかです。普通はもっと、クライマックスにさしかかったお椀のなかは、ベージュと茶色と紫を混ぜたような液体のなかに、あずきの皮が浮かんでいたりするものです。
がそれこそが、あん餅雑煮を心ゆくまで愉しんだ、幸せの証でもあるわけです。