どたばた帰国劇 3

 座って待てる椅子を確保できたので、とりあえず地べたに何時間も座るのだけはまぬがれた。朝食の無料券を配ったりの取り計らいについては、航空会社によってあったりなかったりしたようだが、冷静になって考えてみると、こうしたことは一見サービスであるように見せかけて、じつはチェックインカウンターの前から、イライラしながら並んで待っている乗客たちをとりあえず散らしてしまおうという、航空会社側の意図があってのことではないかという気もしてきた。カウンターで対応しているお姉さんだって、火山が噴火したのは自分のせいでもないのに、お客に苦情ばっかり言われつづけたら、たまったものではないだろう。その証拠に、インド人とおぼしき人たちがたくさん並んだカウンターでは、何ももらえなかったせいで、そのままカウンターの前でごった煮になった人たちのイライラは頂点に達し、お前の肩がオレにぶつかった、とか何とか、じつにしょうもないことで、大喧嘩になったりしていて、最悪だった。

 待っている間の日本人の人たちは、JALのカウンターに行って、空席があるかどうか、値段などを訊いていたようだ。成田まで13万円っていうチケットがあるらしいけど、どうしますか?と訊かれたが、私たちは買いません、と断った。あたふたしても仕方がないし、とりあえず空港が閉じているかぎり、どこの飛行機だって飛びようがないのだ。日本人だよなあ、ここはイタリアなのに、なんでJALなんかに聞きにいくんだろう、と夫。飛ばせてもらえる順番で言ったら、JALなんかビリじゃないか、と。一番早く飛ばせてもらえる可能性が高いところと考えるなら、イタリアならやっぱりアリタリアに訊きにいくのが正解ではないか。

    


 座っていた場所から見えるモニターでは、ほとんどの便がキャンセルになっているのに、やはり私たちのヘルシンキ行きだけが情報待ちと表示されていた。(写真の一番下!)幸い、フィンエアーは便数が少ないために、前日にミラノに飛んできていて、機材が今、ミラノの空港にあるからキャンセルにはならず、便数の多い例えばルフトハンザなどは、朝、ミラノに飛んできてその同じ機材で帰るはずが、朝からミラノの空港が閉鎖されていたので、飛んでくることができず、さっさとキャンセルされてしまった、ということらしかった。それにしても、私たちの飛行機だけは、(いつになるかはわからないけれど。)飛ぶ可能性があるなんて。「あんたの旅行も、ほとんど神がかってきたよな。」と夫に言われた。