旅の友

 そうだった。今回の旅行は、出だしから神がかってたんだった。

 セントレアで、(余談ですが、中部国際空港のことを、東海地方ではセントレアと、何を気取ってか、カタカナで呼びます。前回の旅の帰り、ミラノの空港で、私たち愛知県近辺に住んでいる人ばっかりで会話しているのを聞いていた東京からの旅行者の方に、「あの〜、みなさんがおっしゃってるセントレアっていうのは、どちらの航空会社なんでしょう?」とマジメに訊かれました。なので、「あ、すいません。航空会社じゃなくて、中部国際空港のことを、なんでかはよくわからないんですが、そういう名前で呼んでるんですよ。」と答えると、「へえ〜。なんかかっこいいですね〜。」と、東京の方に言われて、バリバリ(死語。)地方出身者の私は、死ぬほど恥ずかしかった。)で、ともかくその恥ずかしいセントレアで、飛行機のチェックインカウンターに並ぼうとしたときに、夫が別に驚いた風でもなく、「ほら、あそこ。懐かしい人がいるよ。」というので、その視線の先を見れば・・・

 かけっち!!!大学院時代の友、かけっちだ!!!卒業して、彼女はパリに留学して、私もミラノに居るとき、パリに遊びに行ってお世話になって、それで、それで、えっとそれから、いつから会ってないんだ???だから、ともかく、十年とか、十何年とか、平気ですぎちゃっているんだけど、そのあいだに彼女はパリで結婚して、(ちなみにダンナ様はイタリア系フランス人。)一児の母となって、んでつまり、きっと夏の間、日本に里帰りをしていて、今、パリに帰ろうとしている彼女に、私たちは出会ってしまったのだな。しかも同じ飛行機!!!

 「かけっちー!!!」と呼ぶと、突然登場した私たち夫婦に、彼女はすっごく驚いていた!かわいい坊やと、見送りにいらしたお母様と一緒。やったー、これで長いフライトの旅の友ができた。しかも、「かけっち、飛行機の席、何番?」と訊くと、「26番。」と彼女。えーーっ?!私、27番!!!すごい偶然、前後ろじゃん!!!またもや、私の旅の神、降臨。

 飛行機の中でいろんなことを話した。「パリで会ってから、会ってないんだっけ?」と訊くと、「そのあと日本で会って、お寿司屋さんに行った。」と言われて思い出した。そう、一緒に寿司、食ったね。この夏、彼女は東京で学生時代の友人たちに会ってきたというので、懐かしいみんなの近況を聞いたり。パリに戻ったら、9月から坊やが小学校に上がるので、ちょっと緊張していること(彼女のほうが。)などなど。かけっちは昔とぜんぜん変わってなくて、いつも落ち着いていて、自然と気配りが出来る人で、ちゃんと地に足をつけて、すっくとまっすぐに前を向いて人生を歩いている感じ。つまり私とはぜんぜん違う人だ。外国に長く居ると、何だか可笑しな風になる人が多いなか、さすがはかけっちだなあ・・・とあらためて彼女のことを尊敬した。

    


 というわけで、ヘルシンキの空港で、それぞれ違う飛行機に乗り継ぐので、彼女と坊ちゃんともここでお別れ。(彼、とってもとっても人懐っこくて、かわいくて、んでもって元気がありあまってしかたがない様子でした。)記念に、ということで、なかなかありえないと思える4ショットの写真を撮りました。

 かけっち、今度は日本で会おうね。あるいはパリにも、また行きたいなあ・・・