フォスカリさんち

      

 よかったホテルの話も書こう。

 値段と質の関係において、いつもまったく納得がいかない、というのがヴェネツィアのホテル探しだと思いますが、さらに夏の、シーズン真っ盛りのヴェネツィアを、私は甘くみていたのでした。

 旅行のずいぶん前に、いつも利用することが多いドルソドゥーロ地区のホテルを検索すると、いくつかのホテルでまだ空室があったので、すぐには予約せずに様子をみてしまい、(なぜいつも様子をみる?)いざ部屋をおさえようと予約サイトを開いたときには、ドルソドゥーロのホテルで空室があるところは、7軒!えっ?!たったの7軒?!

 それも値段がべらぼうに高いところばかりで、まったく手が出ない。おそるべし、夏のヴェネツィア・・・

 んでまあ仕方なく、払えそうなところを押さえはしたんですけど、当然ながら、ここ、ヤバイっしょ・・・というホテルだったので、その後はマメにサイトを開き、どこか良いところに乗り換えるべく、キャンセルが出ないかを虎視眈々とねらっていたのでありました。

 そしたら・・・出ました〜!!出発前、ギリギリでした。ドルソドゥーロではなくて、カンナレージョとよばれる地区ですが、あまり知らない界隈を開拓するのも愉しいかも。

 Foscari Palace フォスカリ・パラス。有名なカ・ドーロのすぐ近くに位置するこのホテルは、もとは1520年に建てられたお邸。地図を開いても、Palazzo Foscari、ホテルとしてではなく、フォスカリ邸として、記されています。

    


 苦節十数年・・・?何度も訪れたことのあるヴェネツィアですが、大運河沿いという立地のホテルに滞在するのは初めてでした。ヴェネツィアの醍醐味、みたいなのを味わえたのも、これが初めて。

 お部屋も素晴らしく、(間際にキャンセルが出た部屋を、ホテル側も埋めたかったのでしょう。1泊520ユーロのお部屋が、なんと100ユーロ!にディスカウントされていました。値段だけではなく、内容もやはりスバラシイ!)部屋にはバルコニーがついていて、サンタ・ソフィア広場が望めます。

    
    


 何より素晴らしかったのは、屋上からの眺め。屋上、っていうんでしょうか?ヴェネツィアの建物には、屋根の上にアルターナとよばれるベランダのようなものが造られているところがたくさんあって、夏はここでくつろぐっていうのに、私、もんのすごく憧れておりまして・・・

     

 というわけで、フォスカリ・パラスの屋上からの、大運河をのぞむパノラマ・・・
     

 スミマセン、と謝ってしまいたい気持ち。ここはフォスカリさんちなのに。このパノラマは、フォスカリさんだけが愉しめるものだったのに・・・
 貴族とよばれた特別な階級の人や、莫大な財を成した商人など、ほんの一握りの人しか享受できなかったはずの贅沢な眺めを、この私が、何百年もあとの、何の関係もない現代に生まれた、すっとこどっこいの私が・・・

 フォスカリ・パラス、ありがとう。