日本のイタリア化

 クロネコヤマトは来なかった。不在票が入っていたので、ドライバーの携帯に連絡し、それでも来ないのでセンターみたいなところにも連絡し、それでもそれでも来ないので再びセンターに催促の電話を入れたというのに。「夜間になりますが、必ず配達にまいりますので。」と言ったのに。真夜中に持ってきたら、ほんまに怒るで。

 この間は、実家宛に送った郵便物が2通紛失した。まず一通目に送ったものが、いくら待っても届かない、と実家から連絡があったので、仕方なく同じものをもう一度送った。が、それもまた届かないと言うのだった。
どうにもオカシイので、実家の母は郵便局に電話した。が、私の送った普通郵便の行方はわからなかった。母が詰め寄ると、書留ならば確実に届ける責任があるが、普通郵便に関してはたとえ届かなくとも責任みたいなものもない、と信じられない発言を郵便局員がした、と母はめちゃめちゃ怒っていた。ともかく2通目は絶対に探し出しなさいよ!と言って電話を切ったそうだ。
 それから数日後。(私が送ってからは果たして何日経っていたのだろうか?)どこから探し出してきたのか、2通目の手紙は突然実家に届いたそうだ。なのにきちんと配達されたあとに、郵便局からうちに電話がかかってきて、「どこを探しても、お宅の送った郵便物が見つからんのですわ。」と言うので、「もう届いたらしいですよ。」と私が言うと、郵便局員は安堵したのか、「郵便番号を機械が読み間違うことが稀にありましてね、そうすると一旦福島県まで行ってしまうんですわ。それをまた四国まで送り返すもんですから、ずいぶん時間がかかるわけです。」というような言い訳をするので、「私の送った郵便物が2通もつづけて、その稀な読み間違いケースに当てはまったというのか?」と私が問い返すと、しどろもどろになっていた。で、結局1通目は今でも紛失したままなのだ。

 これがイタリアならわかるで。だけどイタリアの場合、送る際も、「無事届いてくれればいいけどなあ。」という気持ちで送るし、(イタリア語には、「Speriamo!」どうなるかわからないけれど、うまくいってくれればいいなあ、という不安と希望の入り混じった気持ちを一言で言い表せる言葉があって、ほんとに言語というのはお国柄をあらわすと言いますか、うまくできているものだなあ、と思います。)あるいは、「いつ届きますか?」とこちらが訊いたところで、むこうからは、「そんなことわかるわけないだろう!」的な返事が返ってくるので、こちらも「ああそうか。もしかしたら今日は届かんかもしれんなあ。」くらいの期待で気長に待つのである。しかし日本の場合、「必ずいつまでに!ぜったいお届けに上がります!!」というヘタな約束をするので、本気で待ってしまい、あげくに裏切られて、とても迷惑なのである。

 最近、日本もイタリア化している、と思っていたけれど、もしかしたら、すでにイタリアの下を行っている。