ASSOBOO

    

 お届けものがありました。
いや、お届けものはヘンだな。だって、自分で注文した品物だもの。

 ASSOBOO アッソブーという洋服のブランドを立ち上げ、デザインから洋服作りまで、一人でこなしてしまうこころっちは、私の心の友。ミラノに暮らした頃、彼女とはいちばん仲良くしてもらって、いちばん腹を割って何でも話せる仲だった。しょっちゅういっしょに遊んでいたからか、ASSOBOO アッソブーという彼女のブランドのロゴを見るたび、「あっそぼー!」と昔みたいに、彼女から声をかけられているような気がして(実際はいつも私のほうが、「あっそぼー!」だったのかもしれないけれど。)、いつまで経っても私のなかでは、ASSOBOO が「あっそぼー!」のままなのだ。

 彼女のブログ「ASSOBOO活動日記」には、彼女の手がけた洋服や小物が紹介されてあったり、旅での出会いだったり、日々のことだったりが、とても穏やかに、優しく、あるときはおもしろおかしく、つづられている。私はいつも、自分の心のざわざわを静めるために、そーっと彼女のブログを開いてみる。彼女の言葉を読むと、心のしこりがふわっとほぐれるような気がするから。

 そのブログで紹介されていたワンピースが気になって、思い切って先日、作ってください、とお願いしたのだった。それが今日、届いた。「負けるな東日本」と書かれたラベルの貼られた、お饅頭の箱といっしょに。
 作っていただいたワンピースは、シンプルだけど素材やシルエットがどこか女らしくて(←私が着るとどうなるかわかりませんよー!)、とろんとした雰囲気で素敵で、何より小さいさんの私のサイズを知っている彼女なので、たぶんいろいろ工夫してくれて、ぴったりでした。もうすぐ生徒さんの発表会なので、そのためにオーダーしました。こんなことお願いできる友達がいるなんて、私、幸せです。

 岩手県に住む彼女も、先の震災で大変な想いをしたひとり。ミラノの頃、彼女に見せてもらった一冊のスケッチブック。そのなかには、彼女の書いた詩とイラストがあって、日本語の詩をさらにイタリア語に訳したものを添えていたと思う。
 そのなかにあった、私が忘れられない詩。

 夕暮れどき、ふるさとを思い出す あんなに嫌いだったのに

 今日届いたお饅頭の箱を見て、すっとその詩のフレーズが、かえってきた。