不調のなか・・・

 明日から旅に出ます。今回はこれまであまり縁がなかった、アドリア海へ。
 
 思えばこの夏の私は、健康運から完全に見放されていた。

 体調の異変に気づいたのは、7月半ば。ホルモンバランスの崩れ、と、私の体調不良から考えられるひとつの原因を医者から聞いたときは、まだ半信半疑であったけれど。あれから一ヶ月あまり、自分なりに自分の身体を観察してきて、ああ、やっぱりそれだな。哀しいかな、それならすべて、きれいに説明がついてしまうのだ。

 身体がしんどいというよりも、精神的にまいっていたところに、さらに今月の初め、足を怪我してしまった。不注意から、足の小指を風呂場のドアにぶつけるという、そそっかしいことこの上ない出来事だったので、初めはそんなにたいしたことない、と決めつけていたが、歩けないどころか、靴も履けなくなるほどだった。小指に何かがさわるだけで、痛くてたまらないのである。しかし歩かないわけにもいかないので、100円ショップで小指に接触の少ないビーチサンダルを買ってきての生活となった。歩くたびに、ペタッ、ズリッと音がする。ペタッはビーチサンダルが左足のかかとに跳ね返るときの心地よい音で、ズリッのほうは怪我した右足を引きずる情けない音である。
 ひょっとしたらこれは骨折してるのかもししれない、という話になった。折れるまでにはいたってなくても、ヒビが入るとか、骨が欠けてるとか。だが運よく(?)病院がお盆休みに入ってしまったので、レントゲンもとらずに、そのまま自然治癒させることにした。足の小指に添え木などされたら、わずらわしいことこの上ないし、折れてるかどうかなんて、べつに知りたくもない。世の中には、知らずにいたほうが幸せなことが山ほどある。

 こんなトホホな私は、夫から「厄年なんじゃない?」と言って呆れられた。「厄年って、私くらいの年だと、男の人が前厄とかだよね?」と言うと、「じゃあ、やっぱりオトコなんじゃない?」とも。

 ホルモンバランスは崩れ、私の身体はオバサンではなく、おっさんに向かっているのだろうか?それならそれでいっこうに構わないので、私の身体よ、どうかすんなりおっさんに移行してもらいたい。
 足のほうは痛みもずいぶん引いた。ともかく旅に出るのだから、ビーチサンダルから卒業しなければ。といっても、持っている靴はどれも痛くて履けないので、靴屋に行って、幅広タイプの、小指に靴がさわらないスニーカーを探して買ってきた。その新しいスニーカーに足を突っ込んで、中で足の指を動かしてみると、いつもの靴よりもスペースがあるので指がもぞもぞと動かせる。そんなことにまでささやかな自由を感じてしまえる、この夏の私。サザエさんの登場人物が、みんな身体のわりに足がすごく小さいのに対し、私はその逆で、大き目のスニーカーのせいで、身体が小さいのに足だけがやたらと大きく見える。

 出発前の下調べはいつもにも増して不十分だが、まあどうにかなるだろう。すっかりまではいかないだろうけれど、少しは元気を回復して帰ってこれますように。
 行ってまいります。