常滑で急須を探す。

     

 おとといの日曜日、常滑へ行ってきました。前夜、床についてから、なぜか突然思いつき。

 あれはもう何年前になるのか・・・ヤボ用で常滑まで行くことがあって、そのついでに、陶器を売る店や、作家の工房がひしめきながら並ぶ、やきもの散歩道に立ち寄ったのです。そこで、一目惚れしてしまった急須を買い、ずっと大事に使っていたのでした。が、哀しいかな、形あるものは、はかなく壊れてしまうものですね。うっかりかいてしまった急須をボンド(←しかも木工用!それしか家になかったので!)でくっつけて、その使えなくなった急須を台所の流しの正面に置いて、未練たらたら眺めて暮らし、はや幾年・・・さあ、やっと代わりの子を探すときがきた!

 まず最初に、陶磁器会館へ立ち寄り、やきもの散歩道マップなるものを手にいれ、捜索開始・・・しかしこれがアダになったかな?前回は地図なんて持たずに歩いたので、地図のコース通りに歩いてみたら、(これは最後にわかったことだけど、)どうやら前回私が歩いたのは、コースのゴール地点あたりだけだったようで、ぜーんぜん記憶にない景色やお店ばかり・・・はて?あの急須を買ったのは、どこだったのだろう?


     

 突然ですが、ここで路上観察。歩き始めてすぐに出会ったのが、これ。常滑のとこにゃん。

 ネーミングは、完全に彦根ひこにゃん?のパクリだと思うけどね。でもこのとこにゃん、お友達のご主人が作った作品だそうなので、今回、のせちゃいます。

      

 とこにゃんの次に、私、だんごを買って食べました。ぷらぷら歩きながら、ちょうど食べきったあたりで、上の写真の串を入れる場所が出現して笑えました。
 それにしても、見覚えないところばっかし。

       

 どこかの工房の、中から外をうかがう、かわいいワンちゃん。

 適当にいろんなお店にも入って見てみるんだけれど、どうしてあんなに高い値段がついているんでしょうねえ・・・ぜったい買えません!作家さんのプライド?心意気ですかねえ?私が使ってたのは、もっとかわいい値段だったぞ。それで充分!

 それにしても・・・まだぜーんぜん見たことある場所が出てこない・・・

      
 大変有名であるらしい、土管坂、土管や焼酎瓶が積まれた、焼き物の町常滑ならでは、というこの場所でさえ、初めてだった・・・ということは、前回の私、何も見ていない・・・???

 暑いし、ええ加減疲れてきた。昼もとっくに過ぎているので、駐車場近くにあったスーパーへ行き、にぎり寿司や助六寿司を買い、ベンチに座って昼食。(関係ないけど、もう食べ終わる、という頃に一人のおばあさんがやってきて、「あのー・・・足が痛くてねえ・・・お食事中のところ申し訳ないんだけど、座らせてもらえる?」と言われる。そんなこと言われたら座らせてあげなきゃいけないんだけど、食べてる私たちをどかせて、立たせてでも自分が座りたい、というおばあさんの根性。なんかちょっと悲しかった。座ったとたん、「どこから来たの?名古屋から?それはちょっと(距離が)あるねえ。」とか、べらべらしゃべり始めて、あんた、めちゃめちゃ元気やん、みたいな。それからもうひとつ。スーパーのにぎり寿司はやっぱり美味しくないけれど、助六は、だいたいどこで買っても平均点はいくね。)

 昼食後、コースへ復帰。よし、ぜったい見つけるぞーーー!

      

 今は使われてないのかもしれないけれど、古い煙突がいくつも残る。「サン・ジミニャーノみたいやねえ。」と夫に言うと、「前に来たときも同じこと言うた。」そうな。近くなってきたってことか?

 だんだん、見つからないかも、という空気が濃くなってきたが、何軒か、お店がかたまったエリアで、一軒、気になる店があり入ってみる。ここだったような・・・値段も、ほかのところよりかわいいぞ・・・
が、店内にならんでいる中に、同じような急須は見つからず・・・

 そこからしばらく歩いて、めでたくコースは終了〜!って、どういうこと?

 とうとう行き詰まり、通りがかりに見つけた、手作りパンを売るようなお店に入ってスコーンを買い、表のテーブルに座ってお茶休憩。

 そこで、この日、家から持ってきていた、ボンドでくっつけた壊れた急須を出して、あらためて眺めてみる。自然光にさらして見てみると、使い込んで、案外ボロっちい。
 が・・・あれ?こんなところに銘が入ってる!?

 ずっと使っていた急須の取っ手のところに、窯の名前があるのを、このとき初めて発見!それを見て、夫はピンときたようだ。

     
 私がさっき気になっていたお店、そこが急須に入っていたのと同じ名前のお店でした。
店番をしていたおじいさんに、「何年か前に、ここで買ったものですが・・・」と言って、壊れた急須を見せ、同じようなものが、まだありませんか?と訊ねてみる。

 おじいさんは、いくつか積み重ねてあった下のほうの箱から、私の急須と兄弟みたいな子を3つ、取り出してくれた。「もうこれだけしかないなあ。」

 それらはおそらく売れ残ったもので、もうお店にも並べられてなかった様子。私が使ってたのと同じくらいの大きさのものが、デザインは違うけれど2つと、もう少し大ぶりのものがひとつ。ちゃんと目のまえにある。「すみません、これ、ぜんぶください。」(やっちゃった!)「えっ??!ぜんぶ??!」と、おじいさんはびっくりしていたけど。

 これぞ、逆転満塁ホームラン?(笑)
 帰りは駐車場まで夢見心地で歩き、心があったかくなったまま、家路についたのでした。