お気に入りの場所

     

 今年もすでに、ブログが滞りがちな私・・・ダメじゃん。

 年末に帰省した折、久しぶりに大好きなお店に行くことが出来ました。以前、このブログでもご紹介したことがあるお店です。

 そのお店BAKU さんは、今風に表現するならカフェと呼ぶのでしょうが、私はあえて、喫茶店と言いたいなあ。今のカフェ文化(?)が登場するずーっと昔。外でコーヒーやお茶を飲むなら、当然喫茶店しかなかった時代から、まったく変わらない姿、変わらないスタイルで、静かに、ひっそりとそのお店はありましたから。

 子供の頃。うちの実家は、家族そろって喫茶店にお茶を飲みに出かけるのが、日常、ごく当たり前に行われる家でした。早めに晩ごはんを済ませて、何となくぱくっとした時間が出来たり、誰かがどこか行きたい、などと言い出したら、休日であろうがなかろうが、さっとみんなで車に乗って、どこかのお店にコーヒーを飲みに出かける家族でした。今思えば、あのフットワークの軽さっていったい何だったのだろう?と思います。子供の頃の私は、そんな風にごはんを食べたあと、何となくみんなの気持ちやタイミングが合えば、コーヒーを飲みに行く、ということを、どこの家庭でもやっているものだと思い込んでいました。喫茶店って、そういうためにあるもの、とも思っていたように思います。

 そんなわが家の訪れる喫茶店のなかでも、BAKUさんは子供の私にとって、特別な感じのするお店でした。今でもオーナーさんのセンスの良さには、行くたびに溜め息が出るほどですが、どことなく大人っぽい雰囲気を、子供ながらに感じとっていたと思います。他に行くお店にはない空気感でした。


    

 ここのお店の素敵なところのひとつは、お庭。緑がもりもりになっているのは、すべてクリスマスローズ。もうすぐ咲きはじめるはずです。クリスマスローズの咲きそろったお庭は、お店の雰囲気と合っていて、それはそれは素敵なのです。庭は自然なままにしてある、とオーナーさんはおっしゃいますが、お話を聞けば、落葉樹の落ち葉を集めて、穴に落ち葉を入れて腐葉土にして、庭に撒くんだそうです。お客さん商売だから、市販の肥料や薬なんかは一切使いません、と。

     

 窓辺にならんだテーブルに座って、お庭を眺めたり、雑誌をめくったりしながらここで過ごすお茶の時間は、私にとっては至福のひととき。お店に飾ってあるぽってりとした陶器も素敵で、訊いてみればイタリアのものだとか。そっかあ、私、子供のときからそういうのが好きだったんだなあ・・・と、新発見でした。

 30年以上たっても変わらずに好きな場所。これからもずーっと在りつづけてください。