それでも愛してやまない国

 いやあ、イタリアの船の事故は、詳しく知れば知るほど、「何だそれ・・・?」みたいなことがたくさん出てきているけれども・・・。とくに、自分だけさっさか逃げようとしていた(逃げ出していた?)船長さん。そのときのやりとりが何度もテレビでも流れて、当然ながら、ものすごく責められているけれど。でも、でも・・・「イタリア人なら、一番に逃げるよね・・・(トホホ)」というのが、私たち夫婦の一致した意見。

 何年か前、私たちがモンテプルチャーノから乗ったバスが、途中で故障しちゃって、動かなくなったことがあった。乗客は私たち夫婦と、途中から乗ってきた老夫婦のたった4人。運転手の様子から、出発するときからバスの調子がおかしかったのは何となく私たちにもわかっていたのだけれど、走り出したので大丈夫なんだな、と思ってたのだけれど・・・

 とうとうバスは、どこだかわからないバス停に停まったきり、動かなくなっちゃった。ついでにバスの乗降口のドアも、開いたっきり閉まらなくなっちゃった。

 時間だけはどんどん過ぎていく。運転手氏はすでに真っ黒になった手に工具を持ち、あっちこっちいじってくれてはいるんだけど、奇跡は起こらず。運命を共にしていたおじいさんとおばあさんは、通りかかった別のバスが、自分たちの行きたかった場所にいける便だったみたいで、そちらに乗り換えて去ってしまった。あとに残ったのは、運転手氏と私たち二人と、動かないバス・・・

 夫、とうとうキレた。「ちょっとあんたっ!!!自分でどうにもならんのなら、会社に電話して別のバスをよこすなり、迎えに来させるなりしたらどうだ!?」と怒鳴った。すると運転手氏は、「今日は日曜日で、会社にはだれもおらんのじゃーーーっ!!!オレももう、家に帰りたいんじゃーーーっ!!!」とまさかの逆ギレ。猛然と怒鳴り返して来た。という、ウソのようなホントの話。

 いやあ、事故の大きさは比べ物にならないけれど、そんな出来事を思い出してしまってね。

 被害に遭われた方には、心からお見舞いを申し上げます。と同時に、やっぱりイタリアに行くときは、何が起こっても、自分で自分の身を守らねばならないという大きな覚悟と、責任みたなのを持ってないといけないな、とあらためて思いなおしました。

 そこまでしてでも行く価値のある国だと、やっぱり思うからね。
 バカだよ、私は・・・