パンジー用

    

 今日は外は一日雨だそうです・・・

 以前、アンティークの物をあつかった本を見ていて、イギリスにはパンジーの花を生けるための花器があることを知りました。パンジーと言えば、日本では庭の花壇なんかに植わっている花、というイメージが強く、そのパンジーの花を切ってきて、室内に生けて愉しむという発想があること自体、私には驚きでした。

 かくしてパンジーは切り花として愉しめるのか、否か、ということを、自分で試してみたい。いや、実際、イギリスにはパンジー用の花器があるくらいなのだから、切り花として充分愉しめるはずなので、それを自分でも確かめたいと思いました。

 結果は、大成功!(って、何もしとりゃせんけど。)切って水に差しておくだけで結構長持ちしますし、庭や鉢植えのパンジーは次から次へと花を咲かせてくれますから、惜しみなく切ることができます。それに、食事などをする生活の中で使うテーブルの上に飾る花って、大きなものよりも、こじんまりとしていた方が邪魔になりません。私は冬の花のない時期、外に植えられたパンジーをせっせと切ってきては、部屋で飾るようになりました。

 写真の花器は、パンジー用というわけではありません。というより、私はパンジー専用のそれを持っていません。ミルクピッチャーとか、小さなものなら、何でも代用できるのではないでしょうか?向かって左側の丸い小瓶は、トスカーナの田舎町の蚤の市で見つけたガラクタで、たぶん、蓋のとれた香水瓶だと思われます・・・

 イタリアのパンジーを思い出してみると、確か茎の部分が日本のものよりも長く、なので日本の頭でっかちのパンジーよりも安定がよくて、生けやすいように思います。イギリスのパンジーもきっと、イタリアで見たもののように茎が長いことから、生け花にしようという考えが生まれたのかもしれません。

 パンジーといえば、カンツォーネ・ナポレターナに、La panse' という曲があります。「ぼくにおくれよ、君のそのパンジーを・・・」と繰り返す歌詞のあいだに、「No! No! 」と、否定の意味の合いの手が入るかわいらしい曲。この曲の歌詞から想像しても、きっと女の子の方は、小さなパンジーの花束を手に持っているはず・・・ 外国ではもっと身近に引き寄せて、愉しむ花なのでしょうか?

 冬のあいだは、寒風に耐えているかのように、ぐーっとちぢこまって咲いていたパンジーですが、ようやく訪れた春の空気に、ほろっとほどけるようにおおらかに咲く姿が、私はいちばん好きです。