ヴェネツィアの強気

     

 海の税関。ヴェネツィア共和国が栄華を誇った時代の輝かしさは、今も失われていないように感じます。ここに世界中の物や文化が伝わり、そしてここから世界が広がっていったと言ってよいかもしれません。

 初めてヴェネツィア本島に滞在したのが、サルーテ教会のそばだったからでしょうか。大運河が終わりを告げて、さあここから海がはじまるというこの場所を、いつだったか、のんびりと散策した記憶ともかさなって、ドルソドゥーロや、サルーテからドガーナ(海の税関)にかけてのあたりが大好きです。ホントは滞在するホテルも、いつもこの界隈で見つけたいのが、私の本音・・・

 ヴェネツィアの滞在で頭の痛い問題が、宿探しです。値段と質の関係において、とにかく納得できないことばかりのヴェネツィアのホテル。とにかく高い・・・こんなに払って、こんなとこ、泊まりたくない。ここに泊まってみたい、と思えるホテルは、いつだってぜーんぜん手の届かない、高嶺の(高値の!)花なのです。

 昨年のヴェネツィア行きも、宿探しで紛糾しました。検索してひっかかってくるホテルは何百軒とありますが、いくら探しても「払えない」か、「泊まりたくない」かのどちらかで、らちがあかない。そこで「ええいっ!」と思い切って、無茶なことを思いつきました。4ツ星ホテルで200ユーロ以下!!この条件で絞り込みをかけます。

 するとひっかかってきたのは、たったの5軒。その中のひとつは、上限の200ユーロで(この金額だって、うちの経済を思えば大奮発ですっ!)、なんとジュニア・スイート!!!「ここにしよう!」と即決しました。

 
     

 ホテル カ・ヴェンドラミン。ヴァポレットの停留所だと、カ・ドーロで下車、カンナレージョ地区になります。有名な、げんこつ橋のすぐ近く。ヴェネツィアの伝統的なスタイルで建てられた、貴族のお屋敷をホテルに改装。全11室だったか、部屋数が少なく、こじんまりとして静かに滞在できることも気に入りました。


     

 室内の調度品や家具も、ヴェネツィア風。窓の外には小さなバルコニーが2か所についていて、小さな運河に面したお部屋でした。お風呂はジャグジー付きと、我が家の旅にはありえない、分不相応な宿。無茶な検索、かけてみるもんです。

 でね、このホテルに泊まってびっくりしたのが、昨年の夏ごろからだったのかな?ヴェネツィアに泊まる宿泊客に、宿泊税なるものが科せられるようになりました、と書かれた紙が、部屋のデスクの上にさらりと置かれてあるのです。一人一泊につき4ユーロ。うちは二人で2泊したから、チェックアウト時に16ユーロを、ホテル代とは別に加算されました。「強気だねー、ヴェネツィアは。」とあきれて話し、言われるとおりに支払ってきましたが・・・

 そんなヴェネツィアでの出来事を、すっかり忘れていた私。昨日、いつも使うホテルの予約サイトからメールが届きました。今月末からピエモンテに出かけるのですが、なんとトリノでも、4月以降、ホテルで税金を払わなければならなくなったと・・・(メールが英文で、内容が熟読できないのだけれど、何度読み返しても、悲しいお知らせであることはたしか・・・)

 イタリアも不景気ですのでね、観光大国であるならば、旅行客から搾り取ろうとは・・・よく考えられたものです。