反省点など

     

 清水寺につづく参道。いかにも日本らしいお土産ものを売るお店がずらりと並ぶこの界隈を、あれこれ目移りしながら歩いたり、買い物したりするだけで、外国の方にとっては、それはそれは楽しいひとときではないですか。

 と考えた私の思惑は見事にはずれ、キオト(←京都のことです。)のこのにぎやかな通りは、観光客が日々押し寄せ、どこも似たような土産物を売り、あるいは試食や試飲をさせたりする店がひしめき合う、サン・マリーノの通りとまったく同じではないか、と。ははは、言われてみればその通り。全然そんなこと気がつかなかった。外国人には何がウケて、何がそれほどでもないのか、というツボを探しあてるのは、けっこう難しいと思った。

 キオトで彼らが一番に行きたがり、そしてその期待どおりに感動した様子であったのが、金閣寺。キンキラキンに輝く寺なんて、確かにわかりやすい。彼らが驚いたり喜んだりするのもムリないわ、と私もこれは納得できた。ガイジンさんに金閣寺は、自信を持っておすすめいたします!

 ただ、時々しょうもないことを訊いてくる。「金閣寺」という漢字について。「金」がoroで、「寺」はtempioのことだ、と答えると、真ん中の「閣」はどういう意味か?と問うてきた。うっ・・・わからん。

 銀閣寺にも行くことになったので、あらかじめ、銀閣寺は銀色をしていなくて、ただの木の色の建物だ、ということを伝えておいた。すると案の定、なぜ銀色ではないのか?と問うてきた。うっ・・・これもわからん。

 あとしょうもないことと言えば、平成24年という、年の表し方についても聞かれた。2012年なので、12年とするはずのところを、何でわざわざ倍の24年にするのかと。

 イタリア人よ、倍の数字になっていたのはたまたまである。西暦と日本の年号は別物で、「平成」という文字のところは、天皇が変わるたびに新しいものに変わり、また、01年から始まる、という説明をした。すると、「平成は天皇の名前か?」と訊くので、時代の名前(?)だとひとまず答える。すると今度は、今の天皇は「イロイトだろ?」(彼らは、Hの発音が出来ないので、ヒロヒトがイロイトになります。)と話が飛び、たしかイロイトは昭和天皇ではなかったか?と思ったので、「イロイトは前の天皇だ。」と言ったら、「じゃあ今は誰だ?」と訊かれ、「あれ?なんて名前だろう?」と、考えたところで出てこない。

 要するに、外国人を迎えるには、まず日本についての知識をきちんと持っていないといけない、という、ごく当たり前のこと気づいたのがあまりにも遅くて、二週間のあいだ、いろいろと間違ったことも平気で教えていた私だった。