衝撃の味

     

 ちょっと〜っ!!Gemme di pino っていったい何?松の何?gemme って何?もしかして松ヤニ?松ぼっくり?もう、何???

 トリノと言えばここ、バラッティ・エ・ミラノ。私みたいなおのぼりさんがぜったい行く高級老舗カフェね。そこで買ってきたドロップ。Miele Agurumi(はちみつと柑橘系フルーツ) まで読んだ時点で、口のなかにツバがわいてきて勢いで買ってしまった。そのあとのGemme di pino という文字はぜんぜん目に入ってなかった。

 ドロップを口に入れた瞬間の衝撃・・・まずい、とかいうレヴェルの問題ではなく、めちゃめちゃ森林浴の味。ほら、ヒノキとか、森林の香りのする入浴剤あるじゃん。あれを食べたら、ぜったいこんな味がすると思う。頭の中の、味覚中枢コンピューターがパチパチとものすごいスピードで作動し、過去に経験したことのある味のなかから似たものをさがそうとするのだけれど見つからず、その間もドロップはずっと口のなかで溶けていっているので、あまりのまずさにばーんっ!!!と爆発しちゃいそう。で、おえっ・・・となりそうなのをこらえるので必死。

 イタリアのリクイリーツィア(甘草、というのですか?それの飴がイタリアにあるんです。)も最初、苦手だったな。日本人の知り合いと、なんであの味をイタリア人が好むんだろう?って話して。例えば日本の抹茶を外国人が苦手なように、リクイリーツィアも日本人には得てないけど、イタリア人には平気な味なんだね、とか言って。さらには、「でも抹茶のアイスクリームだったら、外人さんも美味しいって食べれるよね。ということは私たちも、リクイリーツィアのジェラートなら大丈夫かも・・・」というアホなことを思いつき、リクイリーツィア味のジェラートを試してみたが、やはりそれもダメだった。

 このGemme di pino は・・・ううっ、リクイリーツィアに匹敵するお味でございますこと。

 でも私は食べ続ける。2個目、3個目と食べてみると、頭のコンピューターもパニックを起こさなくなり、私の味覚のページがひとつ増えることになる。

 そうやって自分の世界は、少しずつ広げていける、と思っているから。