衝撃の味 2

 衝撃の味つながりで。

 イタリアのリクイリーツィアのことを書いて、ついでに思い出したのだけれど、フィンランドにもすごくまずい食べ物がある。

 最初はその食べ物のことを、ある女優さんが書いた本を読んで知った。日本人のその女優さんが、フィンランドに映画の撮影に行き(この映画というのが「かもめ食堂」。)、休憩時間などに、たくさん広げたお菓子や食べ物のなかから、フィンランド人がこぞって手をのばし、一番早くなくなるという、黒い色のサルミアッキというお菓子。みんなが食べるので、美味しいのかと思ってその女優さんも食べてみると、もうこれが今までに食べたことのないまずさ、だったのだそう。

 と、ここまで読んで、この黒い物体のサルミアッキこそ、フィンランドのリクイリーツィアではないか?と私は推測を立て、フィンランドに行ったアカツキには、ぜひともこのサルミアッキを食べてみようと、企んでいた。

 私より先に両親が、フィンランド航空を使ってヨーロッパを旅行し、その機内食で出たパンが、微妙に色が濃く、そして匂いも味もめちゃめちゃおかしなパンで、とても食べれたものではなかった、フィンランドの人は、あんなまずいもん食うんか?と言うのだ。はは〜ん。それこそがフィンランド版リクイリーツィア入りのパンやな、と、勝手に決めつけた私であった。

 その後、めでたく名古屋からもフィンランド航空が就航し、ど田舎の名古屋からは他に選択肢もないため、私もこれまでに何度か、イタリア行にフィンランド航空を使うことになった。

 愉しみにしていた(している)リクイリーツィア味のパンは、いまだ機内食でお目にかかることがないままに至るが、いつの日かそのまずいパンを食べて、おえっ!としてみたいな、と思っている。

 そして有名な(?)サルミアッキのほうは、ヘルシンキの空港内で簡単に手に入り、とっくにお試し済みだ。

 結果、やっぱり予想どおり、フィンランドのリクイリーツィアだった。しかし私を新たに襲った衝撃は、リクイリーツィアのまずさだけではなかった。このフィンランド版リクイリーツィアは、なんとかなりの塩味がプラスされているのである。いつもは、イタリアのリクイリーツィアの、ほの甘いようなまずさを味わっていたが、サルミアッキは、まず塩味が広がったあと、ぼわわわ〜ん・・・どわーーーっ!!!と、リクイリーツィア独特の苦手な味が、口のなかいっぱいに広がる感じ。まずい味の唾液を飲み込もうか、吐き出そうか、もうどうしたらいいのかわからなーーいっ!

 1パックに3箱も入っていたサルミアッキを、知り合いの家を訪ねるなどの折に持って行って、何も言わずに食べさせ、人が目をシロクロさせるのを楽しんでいたりなどした、とても意地悪な私なのだった。