雨のトレヴィーゾ

     

 お天気と食べ物ほど、旅の印象を大きく左右するものって他にはないように思います。

 先に謝っておきますが、ろくな写真がありません。お天気が悪かったからか、ただ単に、私の腕の問題なのか・・・

 この日、朝はまだどうにか降りだしておらず、まずは雰囲気の良さそうな運河のエリアをもとめて街に出ました。

 運河というと、やはりどうしてもヴェネツィアの風景がちらついてしまって・・・敵うわけがないのですが、でもトレヴィーゾの運河は、もっと人々の暮らしのなかに溶け込んだ運河の姿、という気がしました。観光客もそう多くないですし。

    
普通の人が、普通に買い物をするお店が、運河沿いにならんでいます。

    

 よく見えないのですが、運河の流れのなかに人魚のオブジェが。
他にも飛び跳ねるお魚のオブジェも。
    

 そしてこの近くには、魚市場があるのです。
    

 あと、ちゃんと動いている水車もあります。昔は小麦を挽いたりしていたのでしょうが、今はもっぱら観光用なのでしょうね。
    

・・・と、だんだん気分も乗ってきたところで、とうとう雨が降りだしました。

 それでもこういうポルティコのある場所を歩けば、濡れずにすむんですけどね。
    

 しかし雨は無情にもどんどん強くなるばかりで、雨宿りすることに。
ちょうどガイドブックで見ていたお店を発見し、ロケーションもなかなか良いので、こちらで。(アーチの向こうのテーブルのところです。)
    

    
 運河に面したいい席に座り、することもないので、たまっている日記を書きました。でもノートが雨でべちゃべちゃになるくらい、猛烈な吹き降り。この席も良かったんだかどうだか?って感じなのだけれど、もうこうなったら意地でも動かない。

    
 あ、余談ですが、私が夏にイタリアのバールで飲むのは、このキノットか、アックア・トニカか、ビタ欠のときはスプレムータか。それくらいの選択肢しかありません。このキノット、美味しい。

 けっきょくこの日は夜も、このお店に出かけなおして、ここで食事を。モダンなインテリアで、メニューも何だか、聞いたこともないようなお料理ばかりで。なかでもびっくりしたのは前菜なのですが・・・

    
 イワシの酢漬け、緑のはきゅうりのスライス、そして奥のちょっと見えにくいのが、リンゴのごくごく薄いスライスの乗った一皿。ピンクペッパーが散らしてあります。

 ヴェネツィアの名物サルデ・イン・サオールには、イワシは油で揚げてギトっとして、タマネギのまどろっこしい甘さが酸味を邪魔するものもあって、そういうのは好みではないのだけれど、ここのイワシの酢漬けは、何というか、日本の魚の酢漬けみたいな、きりっとさっぱりしたお味。それで不思議なのは、何で付いてきたのかと思っていたリンゴのスライスをこのイワシと合わせると、リンゴのデリケートな甘みがイワシの酸っぱさとあいまって、とーっても美味しくなるの。びっくりしました。魚の酢漬けにリンゴ、っていう、誰が思いついたんでしょう、この組み合わせ。

    
 夜もすっかり更けて、やっぱり運河を愛でながら、ホテルへと帰りました。(ここには大きな椅子のオブジェが。)


 今夜は何やら寝付けないので、ブログでも書こうかと、深夜にパソコンに向かっておりますが、書きながら、何やら雨だったトレヴィーゾの落ち込んだ気分を思い出し、どんどん気持ちが沈んできました。
 お陰でこのまま、眠りにつけそうです。
 みなさま、おやすみなさい。