二十年ぶりのティツィアーノ
こないだうち(←もしかして方言か?まだ最近の、少し前のこと、という意味です。)、ちょっとやり始めていた写真の整理はまた滞ったままになっています。ヴェネツィアに行っとんやけどね。(←空想上。)
カナル・グランデ。夏の日差しにかがやく大運河の眺めは、まだまだ春には遠い寒さの日々であっても、ホント、晴れ晴れとした気持ちにさせてくれます。(入試目前で、わたくし、かなりゲッソリしています。べつに自分が試験受けるわけでもないのに。)
カ・ペーザロ。今はホテルになってるはず。ヴァポレットのカ・ドーロの停留所で降りて、通りに出るまでの通路を進むと、すぐにそのホテルの中庭が見える場所があるのですが、なんかエキゾチックな雰囲気が漂うインテリアがその中庭にしつらえてあって、すっごく素敵です。いつか宿泊してみたい、と思っています。
そしてカ・ドーロ。大運河の華やかな建築物のなかでも、ここにほどこされた細工の繊細さは格別、と思えるカ・ドーロを、こんなに何でもない建物に撮ってしまえるあたり、さすがはcucciolo先生。(トホホ・・・)
気をとりなおして、次行こう、次っ!(←居酒屋をはしごする、サラリーマンのおっさん風にどうぞっ!)
有名なリアルト橋。橋にはお土産ものなんかを売るお店がたくさん並んでいますが、そのお店の後側になるのかな?写真に見えてる緑色の壁、落書きがすごい。こういうのがイタリアの残念なところだなあ、といつも思います。
リアルト橋からの眺め。
私、リアルト近辺はごちゃごちゃしすぎて、じつはあまり好きではありません。でもリアルトの橋を渡って(サン・マルコ方面とは反対の方に。)、その先にはヴェネツィア名物の、バーカリと呼ばれる一杯飲み屋が多くあるエリアがあって、そこに行くのは好きです。お酒は飲めませんが、チケーティと呼ばれるあらゆる種類のおつまみ、これがすんごく美味しくて、お昼はよくこれで済ませます。(余談だけど、そのバーカリに向かう途中にも、このリアルトの近くは目の前を大きなネズミが横切ったりして!!!そんなんでほんとにこのあたり、私さっさと過ぎてしまいたいといつも思う。)
でもこのとき行きたかったのは、有名なこの教会。
サンタ・マリーア・グロリオーザ・デイ・フラーリ教会。大きすぎて、写真に入りませんでした。(さすが、cucciolo先生・・・)
そしてここで見たかったのは、もちろんこれ。
きゃあ・・・ピンボケ・・・(さ、さすがは大先生・・・)
はい、では絵葉書で。(しかもこれもピンあま。)
ティツィアーノ作「被昇天の聖母」(「Assunta」)ヴェネツィアといえばこの絵、と思うのは私だけでしょうか?とてもドラマティックで、あたたかな赤の多い色調もいかにもヴェネツィアらしい、と思います。何度もヴェネツィアに訪れながら、しかしこの絵を見たのは初めてこの街を訪れた二十年以上も前に一度だけで、なかなか再訪がかなわなかったのでした。だからこのときはここをメイン!と決めて出かけました。じーっと見ていると、私も天に舞い上がっていきそうな、吸い込まれそうな迫力です。
この絵を初めて見ていたとき、そう、二十歳すぎの私と友人、男性二人組に声をかけられました。よかったら一緒に食事でもどうですか、と。たぶん私たちが絵に見とれているときから、ずーっと彼らに見られていたのだと思います。この男性二人組、イタリア人ではありませんでした。とっても流暢な日本語で話かけてきて、だから私も友人もすっかり日本人だと思い込んで、気を許して彼らとしばし話をしたと思います。で、じつは私は、昼間だし、ごはんくらいならべつに一緒に行ってもいいかなあ、とまで思っていたと思います。
そうしたら彼ら、自分たちは仕事でよく日本にも行くので、日本語はぜんぜん大丈夫なのですよ、と言いだし、そこでやっと彼らがアジア人(たぶんタイの人だったと思う。)だと気がついたおバカな私たちでした。
日本人でないとわかった途端、ぜったいついて行ってはいけない、と思い始めた私。すんごくしつこく誘われたのだけど、あとはキッパリと断りつづけて事なきを得ました。
という昔の出来事も、このティツィアーノの絵と一緒によく覚えていて、だからこの二度目のティツィアーノのときは、もしもだれかにごはんを誘われても、行っちゃおうかな?なんて、ぜったい思わない。私、もう昔のばかちんな私ではないもの!と自信満々で出かけました。
が、あれから二十余年。四十をいくつもすぎたおばさんに声をかけてくる阿呆など一人もいない、ということに気づいていなかった、やっぱり今でもばかちんのオレ。