2013年旅計画 思案中

 少し前に、今年の春の旅計画について書いた。私は当初、今年はどうしてもローマに行きたかったのに、飛行機が値段の関係で大韓航空に決まってしまったことから、旅行のルートが決まらない、という事態に発展していた。というのは、数年前までは大韓のソウル発はローマに直接入っていたのが、いつの間にか、ミラノを経由してローマに着く、という便に変更になっていた。このため、ローマ到着が深夜になってしまうこと、ミラノを経由するぶんローマまでは時間もかかるので、旅の最初から疲れるのはイヤだ、と夫が言いだし、結局今年もまたミラノ往復のチケットを取ってしまった。そのため、一体今度はどこに行くのか、行きたい場所が見つからない、という、旅そのものの意味を見失ってしまったかのような、宙ぶらりんな状態になった。

 そのうえ、大韓航空は毎日イタリアへの便があるわけではなく、フライトスケジュールに合わせると、旅行の日数もすごく短くなってしまった。この日数でどこをどう周れば良いのか、ますますわからなくなった。

 しかしそれでもあれこれと考えあぐねていたら、ドロミーティ(日本語だとドロミテという方が一般的ですか?)のあたりは、二人ともゆっくり行ったことがないなあ、と思い当り、ドロミテ周辺に決めようか?と調べはじめた。

 が、ドロミテは季節的にまだシーズンではないので、すごく寒いだろうし、バス便やロープウェイとかケーブルカー(?)も季節運行らしいので、行きたいところに行けるかどうかもわからない。それに、やっぱり夏のシーズンの方が快適だし、景色もずーっときれいなはずだから、せっかく行くならやっぱりベストな季節がいいよね、と話していた矢先、私がぎっくり腰になり、「そんな足腰じゃあ山をトレッキングなど到底ムリ。」と、ドロミテ計画は主に私の健康上の理由により、あえなくボツとなった。

 その後は、いかに体力を使わずに旅行できるか?という方向へ目的をシフトし、「自分の足腰いたわりの旅」を勝手にテーマにかかげ、ルートを考えはじめた。

 「いたわり」という言葉から、安直に頭に浮かんでしまったのは、恥ずかしいけれど、またしてもイタリアの温泉に行く、だった。

 ネットや本などでいろいろと調べた結果、パドヴァの近郊にアバノ・テルメという有名な温泉地があることを初めて知った。ミラノからも近いし、まずこのアバノ・テルメへ。そこから南に下り、まだ一度も行ったことのないルネッサンスの古都フェッラーラに滞在。つぎにエミリアロマーニャの、パルマかモデナあたりで美食を堪能し、そこからほど近い、世界一美しい温泉地と言われるサルソ・マッジョーレでこれまた心身の癒しをもとめた後、再びミラノへ、という、旅の最初と最後を温泉でサンドする、我ながらなかなか、と思える小旅行を思いついた。各町への移動の距離も短いし、身体もそんなにしんどくはないだろう。

 夫もこの案に賛成し、ホテルの予約も早々と終えたのだったが、なぜだか漠然と、今度の旅はこの計画どおりにいかないような気がするなあ、という不吉な予感がずっとぬぐえずにいた。

 そんなある日、突然、昨年6月に来日して10日あまりお世話をしたマメ台風イタリア人(正確にはサン・マリーノ人)から、「今年はいつイタリアに来るんだ?ぜったい来いよ、連絡待ってるぜ。」的なメールが届いた。昨年京都を案内した時に、お寺で靴を脱ぐのはイヤだ、と言ってダダをこねて困らせた、バカちんからである。

 このメールを軽く無視し、それとは別で、夫は今度のミラノでぜったいに会わないといけない人と連絡を取り合っていた。しかし運が悪いことに、このミラノの知人と、前述のバカちんがとっても仲の良いお友達なので、ミラノで彼に会ったら、私たちがイタリアに行っていたことはバカちんにも伝わるだろうし、案外イタリア人はこういうことをちまちまと気にするタイプが多いので、「あいつには連絡しておいて、なんで俺たちには何も言って来ないんだ?」とバカちんが気を悪くするといけないので、バカちんの方にも私たちのイタリア行きをメールで伝えた。

 こうして私の悪い予感は的中し、旅行の予定はまた組み換えざるをえなくなった。バカちんに会うために、わざわざリミニかそこいらへんまで、足を運ばないといけないのだ。

 できれば私の考えついた、「体力温存コース」の旅程の変更箇所が少なく済むように、今日からまた、頭を悩ませる日々である。