教えたくないけど・・・

     

 開店してしばらくすると、いつのまにかこんなふうに超満員。ミラノでいつも行く食堂です。

 はっきり言って、ここのお店のこと書くの、ちょっと恥ずかしい。だって、こんなことを言っては申し訳ないけれど、ぜんぜんイケてないお店だもの。

 どんな風にイケてないか。

 まず、経営者が中国人です。オーナーであると思われるお父さん、イタリアで長年頑張って、元はプーリア料理の店だったと思われるこの店舗を買いました。元プーリア料理店、とはっきり申し上げたのは、お店の内装、壁に書かれてある大きな絵が、トゥルッリだったり、カステル・デル・モンテだったりするからです。お父さんが頑張って買った、というのは、私たちの勝手な推測。

 お店のなかを忙しく走り回って、お客の相手をしたり注文を取ったりするのは、イタリア語の流暢な息子、顔はどこからどう見ても中国人ですが、なぜかフランチェスコと呼ばれています。彼はイタリアで生まれた2世で(←私たちの推測。)、風貌は中国人でも、中身はイタリア人と変わりません。常連客と思われるイタリア人と、いつも意気投合していて、どっちかと言うと、アジア人である私たちにはそっけない対応。私たちを見てすぐに日本人とわかるようで、「オノミモノハナニデスカ?」と一番に訊いてきます。

 あとお母さんも働きもの。フランチェスコには弟がいて、この弟の方が先に結婚した模様。あるとき、お店にかわいらしい奥さんがいて、おなかが大きかった。

 家族構成はこんなもんでいいか。

 お料理は、たぶんコックも中国系の人なので、ぜんぜん洒落てはいませんが、味は悪くありません。(すごく美味しくもないと思うけれど。)でなけりゃ毎晩のように、イタリア人でお店が埋まるわけがない。

 で、なんでこの店がこんなに流行っているのかというと、ズバリ、値段の安さでしょう。で、しかもどの料理も大盛り。ミラノでこの値段って、はっきり言ってありえないと思う。


     

 この日は到着したばかりの夜で、飛行機の揺れやまずい機内食で食欲がなく、私は生ハムとメロン、夫はハムの盛り合わせみたいなので済ませてますね。ピッツァを焼く窯もあって、パンの代わりに焼き立てのフォカッチャも、言えば持ってきてくれます。これにワインとか水とかも頼んで、全部で17ユーロくらいだった気がする。

 Osteria Lazzaretto オステリア・ラッザレット

 お店の名前と同じ、ラッザレット通りにあります。番地がわからん。中央駅を背にして、斜め左方向に延びるVia Napo Torriani ナーポ・トッリアーニという通りをまっすぐ行くと、Piazza Cincinnato チンチンナート広場があります。このすぐ近く。この広場の名前を、イタリアでなら別段問題ないだろうと、いつも大きな声で、何度も何度も読み上げる私と、それを制止する夫。

 中国の人の根性は大したもので、この店が休んでいる日を見たことがありません。たぶん、休みなしです。(←またまた推測。)