メルヘン伊豆 一日目

 暑さにうんざり、というか、夏に飽きた、というか。朝起きた時点で、蝉の鳴き声がハンパではなく、もう自分の頭の中に蝉を飼っているような、そんな錯覚さえあり(汗)早く日本を脱出したいですが、我が家の夏休みはもう少し先。お盆も何も関係なく、ひたすら日々の雑事をこなします。

 もう2週間以上も前になりますか、今年のメルヘン旅行は伊豆の修禅寺でした。メルヘンというのは、ひょんなことから結成された旅行グループで、私たちみんな大学時代の同期。伊豆の旅行中も、どういう経緯でこのメンバーで旅行するようになったのか、みんなで記憶をたどってみたのですが、誰も正確には覚えていないのです。まあそんなことはどうでもいいことなのですけれど、それにしても大学時代にすごく結びつきが強かったわけでもない友人が卒業から何年、いや何十年も経って集い、旅を重ね、そして今、お互い切っても切れない友と成り得たことは、ある意味、人生の不思議のようでもあり、その仲間たちにも、幸運なめぐり合わせにも、感謝せずにはいられません。

 一日目はいつもどおりというか、やっぱし、というか、朝は名古屋地方雨が降っておりましてね。雨女のわたくし、仲間からの集中砲火を浴びるかと思いきや、みんなもはやあきらめムードで許してくれていたような。いやはや、友とはありがたい。

 新富士まで新幹線で、名古屋組のちかちゃんと私は向かいまして。お腹がすくと口数がめっきり減ってしまうちかちゃんに、新幹線のなかでパンを食べさせることも、これまでの旅で心得ており。そう、同じメンバーで旅をすると、いろいろ分かり合えて、いろいろ許せるようになる、というのが、とてもうれしいではないですか。

 新富士からもりちゃんの車で、沼津に住むふみちゃんを拾い(待ち合わせのコンビニに、ふみちゃんの旦那様がお見送りに来ていた。お見送りって、もう!ふみちゃんラブラブ〜!!とひやかしていたら、旦那様がお見送りしに来たのは、奥さんのふみちゃんを、ではなくて、私たちを、というのですから、優しい、できた旦那様ではないですか。うちではありえん。)

 その後、昼食に鰻を食べに。美味しかった。座った席の近くに飾られてあったクマの置物が、大学時代のお友達に似ている、という話で盛り上がる。

     

 その後は一路、修善寺めざして。運転するもりちゃんを見るのは初めてだったのだけれど、とても男らしいドライビング。初めて知る、彼女の一面。(こういうことも、旅をするからわかるんだなあ。)

 そして小雨の降るなか、まず立ち寄ったのは、虹の郷。イギリス村、カナダ村、と各国の建築様式を模した建物の再現や、あといっろんな植物が愉しめる広大な庭園のある施設。ロイヤルベビー誕生で、入場料も少々お安くなっているのをふみちゃんが調べてくれていて、準備も抜かりなく。ありがとうございました。

     

 自然のなかをのんびりとお散歩するような時間は、普段、私たちの誰も持ち合わせておらず、心身ともに解きほぐされるような、とてもリラックスできる散策となりました。

     

 カナダ村を見学していたあいだに、ちょうど雨もあがり、夕暮れどきの陽のさす庭園のうつくしいこと。

     

 さて、目的の修禅寺温泉はここからすぐ。お宿は、ねの湯対山荘。ネットで私が探したお宿でしたが、とてもいいところでした。

     

外湯めぐりのチケットが付いている宿泊プランでしたので、チェックインしてさっそくに浴衣に着替え、みんなでそぞろ歩きながらお風呂へ。暑い季節でなければ、もっともっと満喫できたのですけどね。地熱のせいか、いつもよりお湯が熱い、と常連さんとおぼしきご婦人がおっしゃってました。

      

     

 上の写真が外湯のある建物。はこ湯、という名前だったかな。あとどうでもいいけど、浴衣の襟合わせの、右と左が反対だ、と通りがかりのご婦人に注意される。もちろん親切で言ってくださっているのはわかっているので「それはどうも。」なのだけど、私は結構そんなことはどうでもいいと思ってしまうダメな日本人なのだ。死んだときの襟合わせがそういうふうだ、とか、いろいろ言われたけれど、それでも私にとってはそんなこと、どうでもいいのだ。で納得がいかなかったのは、私達の4人中3人が、同じように襟合わせを間違って浴衣を着ているのに、別々のご婦人に2回も注意を受けたのが、いつも私だった、ということなのだ。

 さてお食事。お宿のお料理は、お味も見た目も素晴らしく。美味しいものを少しずついただけるところが、女性向きでしょうか。家で留守中の夫のことが、気の毒になったりもしますが、極力考えないように。それにしても上げ膳据え膳って、主婦にとってはそれだけでも大変贅沢なこと。はあ、やっぱり一年に一度、女同士のこういう旅はなくてはなりませんね。

     

 この旅のサプライズは、宿で、私たちのお料理を運んでくださったり、何かとお世話になった仲居さん(若い男性の方なんですけど。)が、偶然にもテノールの方でいらっしゃいました!私たちが食事しながらしゃべっている話がたぶん部屋の外まで丸聞こえで(声が大きいので仕方ありません。)、その内容から、「みなさん、音楽関係の方ですか?」と話しかけられたのがきっかけで、彼の現在に至るまでのお話を聞くこととなり。彼はイタリアに行って、自分が日本のことをあまりにも知らなさすぎることを実感し、こうして日本旅館で働きながら日本の文化や作法を学びつつ、歌の勉強も続けているのですって。なんと謙虚でうつくしい、若者の姿なのでしょう。おばちゃん感動しました。いろんな経験が将来どのように実を結ぶのか、愉しみですね。

 あと、宿の露天風呂になんと!この時期にはめずらしく、ホタルがお目見えしたのです!露天風呂にかかったすだれにとまった、たった一匹のホタル、とても幻想的で、奇跡のような出来事でした。

 というわけで、ざっくりとメルヘン伊豆の一日目をやっと書き終えました。あれから半月も経ち、日本列島たいへんな猛暑にみまわれているここ数日です。

 日本の風景も良いものだな、と伊豆の旅では実感しましたが、毎日こう暑いとなると、もううんざりしてきますね・・・
 こうなってくると、やっぱり私の場合、かの地へ逃避したくなってしまいます・・・