里帰り 3

 すっかり冬の寒さとなっています。みなさま、お変わりございませんか?

 里帰り編も今日でおしまいにしましょう。(帰ってからも、もう相当時間が経ってる・・・ははは。強制終了です。)

 しんどかったことは書きたくないので省略しますが、2日目は他にも二つのお見舞いの予定があり、それらを済ませてこの日の用事すべてを終え、やっと自由の身となりました。

 2泊目は、近くの温泉施設を予約していたので、お見舞いの後、そこへ向かうバスを待つお昼さがり。

    

 人が・・・誰もいない。静かで、とってもお天気の良い秋の午後。ゆ〜ったりと時が流れます。あっけらかんとした、どうしようもないほど平和なけだるさ。こういうの、外国でも日本でもおんなじなんだなあ・・・

 バスに乗ってすぐだったこちらの温泉は、隣に地元の食材なんかを売る市場みたいなお店があるだけで、あとはまわりには何もない公共の宿。ま、味気ないビジネスホテルに泊まるよりは、温泉にでもつかった方が旅の疲れも取れると思い、他には何も期待せずの宿泊でした。

    

 ・・・が。いくら期待してなかったとは言え、少し言わせてくれっ!夕食は宿のレストランで取るのだけれど、ラストオーダーは8時、でもなるべく早くに食事を済ませてほしいと。そしてお楽しみの温泉は、これも早めに入浴は済ませて、夜9時までには出ておくように。さらに、温泉宿であるにもかかわらず、朝は午前11時からしか温泉に入れず、しかしチェックアウトは10時だったか、それより全然早いので、あろうことか朝風呂の利用は出来ず。「布団敷きは、セルフサービスとなっております。」という紙が部屋に貼ってある。自分で敷くのは構わないのだけれど、それが果たして「サービス」なのか?あと夜間は、「もし外出するなら、9時以降に帰ってきても、玄関は閉まってますから、勝手口から入ってくださいね。」って、フロント誰もおらんのかいっ!どっちにしてもどこも出かけて行くところなんかないわっ!翌朝の朝食は、「7時30分〜8時の間にお取りください。」って、設定時間が早いうえに、30分の幅しか持たせてくれないなんてっ!

 という具合に。観察したところ、レストランの人も、お風呂担当の人も、宿担当の人も、要は自分たちの仕事をさっさと終わらせて家に帰りたいばっかりに作ったルールのよう。自分勝手な宿ランキングとかやったら、ええせん行けると思うよ。

 何と言うか、都会でなら、「世知辛い」という形容詞でやりすごせそうな場面も、ど田舎でこういう目に遭うと、とても寂しい、「世も末」的なやりきれない気分になる。もうちょっとはるばる遠くからやって来たお客さんを、お・も・て・な・し・してください。(まことにトホホな気分でしたが、他に泊まるところもないので、次回の里帰りの折もここかもしれません。)

 ともあれ、翌日。ここからまたバスに乗って、高知県に入る。宿毛の、やっぱり親戚の人に会いに。

 この人だけは元気でいる、と、なぜか疑いもなく思い込んでいた私たち。今回帰省するので、その予定を知らせるために電話したら、何年か前から体調を崩し、一人では暮らせなくなって、2年前から老人ホームのような施設に入居していると。そこまで面会に行くことになった。ここでもまた大泣き。(詳しくは書きません。)

 これでようやっと、すべての面会を終え、旅の予定終了。本当に、死ぬほど疲れました。

 翌日のお昼ごろ、高知から初のLCC(ローコストキャリアってやつね。)で名古屋まで帰ることになっていたので、この日のうちに電車で高知まで移動。

 車窓からはのどかな田んぼの風景を眺め、そして四万十川を越えて。

     

 高知に着いたのは午後3時ごろ。ホテルにチェックインして荷物を置いてから、路面電車で市内観光へと向かいました。

 ♪ 土佐の高知のはりまや橋
   坊さん かんざし買うを見た
   よさこい よさこい

    

 歌で有名な、はりまや橋を写真に撮ろうと、カメラを構えたその時、携帯電話が鳴る。

 き、きたーーーっっっ!!!

 じつはこの里帰りの旅と同時進行で、○国立劇場(←どこかすぐわかるね。)の某試験が行われていた。夫の生徒さんが受験していて、結果を毎晩電話で知らせてくれていたのだった。

 旅の一日目夕方、寿司屋で一次合格の知らせをもらい、2日目は温泉に入った後、部屋で寝っころがっていたところに「二次、通りました。」と連絡がきたので、「やったー!」と思わず私は喜んでしまったのだが、「明日、面接と、まだもう一回歌の試験があります。」と言われて肩すかし。(二次試験で終わると思い込んでいた。)

 そうして3日目のはりまや橋にてっ!待ちに待った最終結果発表?!

 「オレ、よう訊かん。」という夫に代わり、おそるおそる、「ど、どやった?」と。

 「それがぁ、発表が明日の午後だって言うんですよ。僕も今日そのこと知ったんですけど。」って。
 
 はぁ?どゆこと?結果待ちのためにもう一泊?

 こういうの、すっごい腹立つ!試験を受けるの、東京の人ばっかりじゃないんですけど。日頃、こつこつとアルバイトしながら勉強している若者にとって、地方からの交通費、宿泊費、滞在費、大変な負担です。自分の分だけではなく、ピアニストの分もかかりますからね。
 地方から出てきている事情を説明して、電話で結果を教えてもらうとかできないの?とも言ってみたんですけど、ちゃんと翌日まで待って、結果見て帰ります、って。マジメだなあ。

 電話を切った瞬間、それまでのもやもやしていた気持ちが、怒りに変わる。

 「3回も聴きゃあ、ええ加減わかるだろうよっ!」
 「ほんま、決めれんヤツらやな。」
 「これで落とされたら・・・」
 「ウ○チしに行く、っていうの、どう?」
 「すごいええ考え!・・・ていうか、それやったら本人がウ○チして帰ればええねんっ!」

 等々、悪態をつく、を通りこし、どこまでも壊れてゆく私たち・・・

 結局この結果を聞けたのは、翌日、私たちが自宅に帰ってからでした。見事合格!の知らせに、旅の疲れも吹き飛びました。そして旅のあいだ中、二人とも涙腺がゆるみっぱなしだったためか、久しぶりにハグしあってうれし泣きに泣いた。
 我が家にとっては前代未聞の快挙であったためか、その後いつものスーパーに買い物に行くのに、なんと道を間違えてしまった私であった。