水泳再開

     

 ようく風邪は快方にむかい、体調も戻った。いやあ、今年の風邪は長かった。(年末にひいた風邪は、昨年の風邪、だろうか?)リビングで咳き込む日々に別れを告げ、昨夜から寝室にもどった。さようなら、いとしい私のソファーベッド。風邪をひいたときはまたよろしく。

 水泳もやっと再開。しばらく泳がないでいると、やっぱり腰の調子が良くなく、今朝、やっとプールに行ける!と、ウホウホで泳ぎに行った。平日の午前中は、だいたいいつも同じ顔ぶれで、ご年配というか、はっきり言ってお年寄りの方が多い。あのメンバーのなかに入れば、自分で言うのも何だが、私なんかまだぴちぴちなのだった。そしてこの午前中のおばさんたち、プールの歩行コースで歩きながらしゃべるのは良いが、泳ぐ専用のコースでも、端っこでずーっとしゃべっているのだった。私なんかは、またまた自分で言うのも何だが、けっこう真面目に泳いでいる方なので、すぐに折り返して泳ぎつづけたいにもかかわらず、おばさん達がターンするところで立ち話しているので、とても泳ぎにくいのだった。夫も同じように困ったようで、「まさか、おばさん達のあのお腹にタッチして向きを変えるわけにもいかないしね。」と言っていた。そんななか、何とか泳ぎつづけていると、ターンの場所でしゃべり続けている二人組のおばさんの一人が私に、「ターンをやって見せて。」と言ってきた。ターンと言えば、水泳の選手がクルンと水中ででんぐり返りしているあれだと思って、私が「ターンはできません。」と答えると、もう一人のおばさんが、「じゃあ教えてあげる。」と言って来た。断るのも失礼だし、それにほんのちょっと、あの水泳選手みたいなターンが出来たらカッコいいだろうな、という思いもあり、教えてもらうことにした。

 が、そのおばさんの言うターンというのは、水中でんぐり返りタイプではなく、普通にプールの壁にタッチして、片手をプールの壁にかけたまま向きを変え、足で壁を蹴って泳ぎ始めるという、わざわざ習わなくてもすぐにでも私には出来てしまうタイプのターンだった。「何だ、これか・・・」と心のなかでは思ったけれど、一応「ありがとうございました。」とお礼を言って泳ぎを再開した。

 それからあとは、ずっとそのターンを教えてくれたおばさんがプールの端っこで私のターンをチェックしていて、「そう!そうですっ!」とか、いちいち先生チックに評価してくれるのが、ちとうっとうしかった。
遠くからこの様子を見ていた夫は、私がおばさん達につかまっていたので気になっていたようだった。「ターンを教えてくれたけれど、水泳選手みたいな、グルンとでんぐり返りするやつじゃなくて、普通に向きを変えるやつだった。」と私が言うと、「それ、古いやつやわ!東京オリンピックの頃のとちゃうか?それとも第一回アテネオリンピックのときのかもしれん。」と夫は言った。

 泳ぎ終えて更衣室で着替えていると、別の二人組のおばさんの一人が、「息子が世界遺産の写真の入った卓上カレンダーをいくつか持ってきて余ったのがあるの、あんた、いらんか?」ともう一人のおばさんに話しかけているのが耳に入った。「卓上カレンダーなんて、うち、置くところないもん。」と話を持ちかけられたおばさんは言ったのだが、カレンダーをあげようとしている方のおばさんは、「玄関にだったら置けるやろ?」とあきらめなかった。しかし「玄関も狭いし、花も飾れんくらいやから。」とおばさんはもう一度カレンダーを断り、その後、家が狭いという話から、固定資産税の話へと二人の話題は移っていった。

 着替えを済ませた私が更衣室を出て、靴をはこうとしていると、あとからカレンダーのおばさんが出てきた。おばさんは、私が靴をはいているすぐ前にあるプールの受付の女性に、「あんた、これ、世界遺産のカレンダーあげるわ。息子がたくさん持って来たけど余って、捨てるのももったいないし・・・」と言ってむりやり世界遺産カレンダーを女性に押し付けていた。

 私は本当は少し、世界遺産のカレンダーだったら欲しいな・・・と思ったのだけれど、そして欲しいと申し出れば、おばさんは喜んでそれをくださったと思うのだけれど、そんなことで顔見知りになってしまったら、また今日のようにおばさんに囲まれてターンを教えられたりするのではないかと恐れ、言うのを踏みとどまった。

 今日の写真について。毎年この時期はヒヤシンスの水栽培をしているのだが、今年は球根を買う時期を逃したのと、あまりに毎年同じなので少し飽きてもいて、何か別の水栽培にしよう、と思った。

 料理の際に出た、ゴミのにんじんの切れ端を水につけて何日か置いたら、黄緑色の葉っぱが、少しずつ延びてきている。今年はこれでいこうか・・・

 ・・・貧乏くさい。