ガッレリアに泊まる!

 いやあ、まいった、年末からの風邪。やっと少し良くなってきたが。夜、寝付く前までの咳が尋常ではなく、やっと眠れたとしても、痰がからむかつまるかするせいで、私、ものすごいうなり声らしい。イビキとは違うその声は、歌うときのポジションにスコーンと入っていて一晩中寝室にヴィヴラーレし、相当な大音響であるらしい。そのせいで今度は夫が眠れなくなり、仕事に差し支えると言われ、私はここ数日リビングで寝ることになった。背もたれをはずせば、リビングのソファーは私をすっぽりと包み込む立派なベッドに早変わり。年末に銀行のくじ引きで当てた、趣味の悪いピンクの湯たんぽが役に立ち、毎晩、快適な寝床で咳きこむ今日この頃。

 昨夏のナポリナポリはおそらくこのときの旅で6度目であったが、めずらしく「ああ、来てよかったな、ナポリ。」と心の底から思えた旅であった。理由はおそらく、いつもナポリ中央駅付近に宿を取るところを、今回は街の中心に泊まることにしたのが吉、だったのだと思う。ただでさえ混沌としすぎたカオスの街で、あの駅周辺の猥雑さには、ほとほと嫌気がさし、精神的にも疲れてしまうので。少しでも快適に、人間らしく(?)旅したい向きには、ナポリ市街中心での滞在をおすすめする。

 いつものとおり、ネットのホテル予約サイトを使っての宿探し。値段と場所と写真の雰囲気と利用者の声などを参考に選んだホテルだったのだが、実際のところ、どんなところに泊まることになるのか、たどりつくまで全然理解できていなかった私。

 というのも、お部屋はまあこんな感じの、クラシカルなインテリアで素敵でありまして・・・↓

     

 カーテンの向こうは小さなバルコニーになっているのだけれど、そこからの眺めというか、このホテルの立地がどうなっているかと言うと、じゃじゃーんっ!↓

     

 このホテル、なんとナポリのガッレリアの中だったの!どうりでホテルの名前が Galleria Umberto だったわけね。(って気づけよっ!)

 しかも朝食はこんなところでいただけます。↓

     

 この場所で朝食をいただけるのは夏の間だけのようでしたけれど、とても貴重な経験をさせていただきました。

 ミラノでもガッレリアといえば、あの豪華なアーケードの下を、上の階の装飾を見上げながら歩く、そういうものだとばかり思っていましたので、まあ場所がナポリとはいえ、ガッレリアの一部となっている建物の上階から高みの見物とでも言いますか、まさに上から目線でガッレリアを行きかう人々を眺める時間というのは、なかなか気分の良いものでございました。

 ちなみに私が滞在した写真のお部屋は別館にあるお部屋で、(dependance というフランス語、別館の意味で良かった?)以下はこちらのホテルの本館(?)の住所になります。

 Hotel Art Resort Galleria Umberto
住所 Galleria Umberto Ⅰ 83 Napoli
tel 08 14976281

 余談になりますが、ナポリに滞在して良かったなあと初めて思った旅は、留学中の1998年のことで、そのときは一週間ほど、ナポリ湾やナポリの旧市街を見下ろせる場所として有名な、サン・マルティー修道院の近くにあった、眺望を売りとしているホテルに滞在しました。8月の暑い盛りで、昼間はカプリ島やソレントまで泳ぎに出かけたり、ある時はナポリ湾に沿ってサンタ・ルチア港目指して歩いてみたり(今では考えられないこと!やはり20代は若かった!)などなど堪能し、安い食堂での美味しい夕食をいただいたあと、夜、フニコラーレとバスを乗り継いで、街を見下ろす宿まで戻り、設計を間違ったとしか思えない、客室の10倍くらいの広さのベランダに出て、眠くなるまで夜景を愛でたりしたヴァカンスでした。眺望は抜群だったけれど、その他はホントにひどい安宿で、部屋は狭く掃除は行き届いていないし、冷蔵庫のなかにはなぜかアリが這っているし、という有様。でも何よりびっくりしたのが、ホテルのフロントに飾ってあった写真。いっとき、社民党が政権を獲っていたとき首相であった村山富市さんが、ナポリサミットの折、このホテルに滞在していたらしい。思い返せば、その時の村山さんが、イタリア料理のオリーヴオイルに胃をやられたとかで、大事なサミットを欠席した、というニュースが流れたと記憶しているのだけれど、一国の首相ともあろう方が、あんなひどい宿に宿泊されたりするのかなあ、と思ったことと、腹の具合を悪くしたのは、けっしてオリーヴオイルで胃をやられたのではなくて、冷蔵庫のなかをアリンコが這っちゃったりするあのホテルで出された朝食にでも問題があったのではないか、と。