ヴィエステの町

cucciolo-mayu2008-12-12

 旅の話を少し。
 南イタリアのプーリア州。長靴の形をしたイタリア半島のかかとの部分、と説明をするとわかりやすいかもしれません。そのかかとの部分から上にあがっていくと、アキレス腱のあたりにボコッとコブののようにつき出た岬があると思います。ここがガルガーノ半島で、その半島の先っぽにある、ヴィエステという小さな町を訪れたのは4年近く前。プーリアと言えばアルベロベッロがあまりにも有名で、皆さんそちらに向かわれてしまうと思うのですが、景色の雄大さはそれはそれはすばらしいので、このヴィエステをご紹介したい。
 行き方が少々厄介で・・・とっても不便なのです。イタリア国鉄で、ローマからバーリへ向かう途中の、(バーリまであと一時間、というくらいでしょうか。)フォッジャという駅が基点になります。フォッジャから、日に何本しかないバスに揺られること約二時間。あるいはそれ以上かそれ以下かも。というのは、その日の運転手のスピードによって、到着時間が大幅に変わると思われる、というのがいかにもイタリアらしい。ちなみに私は、到着予定時間より40分はやく着きました。
 ヴィエステはイタリアでは人気のあるリゾート地で、夏ならビーチも楽しめます。ヴァカンス時期でなくとも、断崖にたつこの町は、白壁の家々がつづく旧市街をそぞろ歩くのも楽しいし、アドリア海がすぐそこに広がって、晴ればれとした気分でのんびり2、3日滞在するのにはぴったり。海のそばですから、食べ物もとても美味。すごく印象に残るのが、町のすぐ南にあるビーチにそびえる、ピッツォ・ムンノと呼ばれる巨大な石灰岩。砂浜にいきなりドン!!と、何ともデカイ白い岩山がそびえ、それはそれは異様な光景。ガルガーノ半島の大自然を実感できます。すぐ隣町のペスキチという町に、一日遊びに行くもよし。ホテルや食事などの滞在費が、南イタリアらしくお財布にやさしいのも、お勧めできる理由です。
 そして何よりも、プーリアの人々のおおらかでゆったりと、人生を満喫している姿。スローフードだとかビオだとか、そんな主義みたいなことではなくて、自分の生まれた土地でその土地のものを食べ、先祖代々生きてきた、当たり前の生き方に深く静かに感動するのです。