グッビオの鳥かごロープウェイ

 旅の最中に、素晴らしい景色に見とれたり、あるいは思いがけない出来事にであったりしたときに(たとえば、「きてや」のおばちゃんに出会ったときのように。)、ああ、今このときが、この旅の頂点だな、と感動の真っ只中にいるはずなのに、わりと冷静に、感動中の自分を認識するがことがあります。
 2007年のウンブリアでは、グッビオにあるロープウェイに乗っていた数分間が、まさにその「旅の絶頂」でした。

 鳥かごロープウェイ、とガイドブックには書かれていて、写真も載っていたので、どんなものなのか、形はわかっていたのだけど・・・ほんとに鳥かごのような、という形容でぴったりでした。

 このロープウェイに乗っているとき、なぜそんなにはしゃいでしまったのか。それはただ単に、私が高所恐怖症だから。どこかがプツン、と切れた状態になってしまったのだと思います。足元も網状になっていて、下の景色が見えるので、ふわ〜、ぞわ〜っとします。

 乗ってから気づいて残念だったことは、私たち夫婦は、二人で同じ鳥かごに乗ってしまったため、自分たちが鳥かごに入っている状態、というめずらしい光景を、写真におさめられなかったこと。仕方なく、よその人を写します。

あるいは、自分たちの影を撮ったり・・・


    
 ロープウェイで上った先にあるのは、サン・トゥバルド教会。グッビオの守護聖人が祀られているそうで、中に入ると、正面にガラスケースが置かれてあって、その中に聖人の遺体が・・・要するにミイラなんですが、なぜかそんなに怖くなかった。
 そのほか山頂には、パノラマが素晴らしいバールもあるので、ここでお茶しました。
     


 もちろん、中世の面影を色濃く残す旧市街の町並みも素晴らしく。坂道がキツイけれど、おおらかにざっくりと絵が描かれた、ぽってり、おっとりしたあたたかい雰囲気の陶器を売るお店をひやかしながら、そぞろ歩くのもまた愉し。
     


     

 そして、コンソリ宮のある、うつくしいシニョリーア広場に立てば、ほら、雲がもうすぐそこ!