La Fenice

 


今回、ヴェネツィアでは、フェニーチェ歌劇場を見学してきました。イタリアでオペラを観ようとなると、普段、コンサートなんかに出かけない人はきっと難儀なことだ、と考えるだろうし、オペラなんて敷居が高いんじゃないだろうか?何を着ていけばいいんだ?言葉がわからんのだからどうせ観たって解らんだろう?などなど、次から次へと心配事は尽きないのではないかと思います。実際、チケットを取るのは大変だと思うし、(いや、この頃はネットでカンタンに取れるのかな?)いい席で観たけりゃそれなりの出費は覚悟しないといけないし、そこまでしてまで、という気持ちもわかるし。というわけで、そんな方には、イタリアに行ったら劇場の見学だけでも、と思うわけです。(前置き、長かったー!)

 1996年(だったと思う。)の火事で劇場は焼失。その後、見事に再建されて2003年(だったと思う。)に開場されたフェニーチェ歌劇場は、その名のとおり不死鳥だわ、とみんなが言うから私は言わない。(でも書いた。)
 水色の天井画が印象的。うつくしい劇場だとは思うが、ミラノのスカラなんかと比較したら、どことなくちゃっちい感じのする劇場だった。ちっちゃい、のではなくて、ちゃっちいのだ。たぶん、再建されて間がないから?新しいから?なのではないかしら?こうしたウツワは、長ーい年月をかけて使い込まれてこそ、貫禄みたいなもの、その場所が発するオーラみたいなものが感じられるのではないか、と思った。

 たまたま、9月から始まるLa Traviata 椿姫のprova(練習)をやっていたので、真っ正面のロイヤル席で、見学させてもらいました。こんなときでもなければ、ぜったい座れない席ですしね。


 主役のヴィオレッタはPatrizia Ciofi パトリツィア・チョーフィ。彼女のデビューを、10年以上前、スカラで聴いた。とにかく演技がすごく上手い歌手。私は彼女、大好きだな。
演出が、これはもう歌劇場、どこだって財政難なんでしょう、現代風の、いかにも安っぽい舞台装置で。合唱の人たちは、ちょっとした待ち時間があるとすぐにぺちゃくちゃおしゃべりに花がさいてしまって、演出家がそのたびにすごく怒る。しかしこの演出家、遠くから見ても、仕草からオカマなのがばればれだ。

 写真は、撮ってはいけなかったのだな。そうかな?とは思ったけれど、監視の係りの兄ちゃんは、さっきからIKEA のカタログに見入っている。ずーっと見ている。まだ見ている。というわけで大丈夫かな?と思って、ばちばち写真を撮っていたら、注意された。ついでに夫からも、「二回目はやめとけよ。」と注意された。

 私はイタリア滞在中、オペラは観に行きませんが、劇場は見に行く派です。劇場によっては、劇場スタッフがガイドさんになって、案内してくれるところもあって(もちろん有料ですが。)舞台裏、みたいなところも見せてもらえちゃったりするので、けっこう楽しい。ぜひ観光のなかに、劇場見学、組み入れてみてください。