眺めのいい部屋 〜モンタルチーノ〜

      

 街の中心、ポポロ広場。モンタルチーノは5年ぶり。初めて訪れたときは9月で、まだ夏の陽ざしの残るなか、ヴァカンス客も多くいたので活気があったのだけれど、さすがにまだこの時期は、人もまばら。

 前回のモンタルチーノではB&Bに投宿し、散々な目にあった。大家さんがヴァカンス出かけているにもかかわらず、私たちを客にとったのだ。何もトラブルが起こらなければどうってことなかったのだが、部屋のドアがオートロックだとは思いもつかないデザインだったので、うっかり夫がカギを部屋に置いたまま外に出てしまい、私たちは荷物もお金も何も持たず、ほっぽらかされてしまった。さあどうしよう、となって、近所ではちょっとした騒ぎに。じつは私たちのように、ここの客がうっかりカギを部屋に置いたままインロックしてしまうのはしょっちゅうで、近所の人も少々迷惑顔。そんななか、斜め向かいのお宅のおじいさんが、「わしが開けてやれるぞー。」と名乗り出てくれた。そうか、大家さんは、留守にするとき、あのおじいさんにカギを渡しているのだな、そうでもしないとダメよねえ、こんなにしょっちゅうなんだもの、などと言いながら、ご近所さんたちは退散していったのだったが、再び私たちの前に現れたおじいさんが手にしていたのは、大家から預かったカギではなくて、ドライバー(ねじ回し)だった。開けれるって、開けれるって、つまりそういうことか・・・「昨日、ここに泊まったお客も同じことになって、ワシが開けてやったのさ。ははは。」と笑いながら、ドライバーを器用に使って、あっという間にドアノブごとはずしてしまったおじいさん・・・もちろん、元に戻すのも、あっという間だったけれど。(あそこの客は、いくら念入りにカギをかけたとしても、おじいさんはいつでも好きなときに、部屋に入れるわけだ。)

 過去の悪夢が今だ忘れられない私は、今回は常駐している人がいて安心できる、ホテルでの宿泊を所望。懲りない夫は、まだ別のB&Bをネットで探していたが(←やっぱり値段が安いので。)、私に却下された。

 そんないきさつをふまえ、今回選んだのは、Hotel Dei Capitani ホテル デイ・カピターニ。ホテルの入り口は、町の旧市街のほうに向いていますが、写真でわかるかな、このホテルの裏側はちょうど丘が切り立った斜面のような地形になっているため、眺めがすばらしいのです。

      

 私たちの泊まった305号のお部屋がこちら。
    

シンプルだけど、上品な雰囲気。ここのホテルのすべての部屋から景色が望めるわけではないようなので、予約のときに、パノラマの見えるお部屋をリクエストしておけば良いと思います。
 窓の外をのぞけば・・・・!
    

 オルチャの谷!いえ、オルチャの海、としたほうがぴったりかも!

    

    

    

 街というよりも、村といったほうが良いような小さなモンタルチーノ。あっという間にひとめぐりできてしまうし、二度目の訪問でもあったので、街歩きはさっさと切り上げて、ホテルの部屋で飽きもせずに、ずーっと窓の外の景色を見ていました。だって、この景色が見たくての旅だったのですから。今回の私のモンタルチーノの思い出といえば、ワインでも美食でもなく、ずばりホテルからのこの景色。

 夜、少し雨が降ったからでしょうか、翌朝、そーっと窓を開けると、霧に煙るオルチャの風景。それはそれは幻想的でした。

    

 だんだんと霧が晴れて、朝の光が差してきます。

    

    

    

 さあ今日も、いい一日になりそう!