アックイ・テルメ 1
昨年訪れたバーニョ・ヴィニョーニでイタリアの温泉を初体験し、味を占めた私たち夫婦は、このあいだのピエモンテの旅にも温泉を組み入れることにしました。
Acqui Terme アックイ・テルメ。紀元前からつづくという温泉地であります。
前日に名古屋からヘルシンキで飛行機を乗り継いでミラノ入りし、どっぷりとたまった疲れを、さっそく翌日、このアックイ・テルメで癒してみては?とおじいさん(←夫)に持ちかけました。
ミラノからパヴィーア方面へ向かう電車の車窓からの景色は、まだ早い春の柔らかな緑に彩られ、それは素晴らしいものでした。あまりこの路線には乗ったことがなかったんだな。
ミラノからの道のりも、大変なものでしたよ。ミラノからヴォゲーラという駅まで、所要40分。この電車が遅れ、ヴォゲーラでの乗り換え時間は、もともと10分しかなかったのですが、ヴォゲーラに着いた時にはすでに乗り換えるはずのアレッサンドリアへ行く電車の出発時刻となっており。「イタリアで乗り換えするのに、こんなギリギリの計画を立てたことがそもそもの間違いだったよ。」と、自分を恨みながらも、ダメ元で、次に乗る電車が出るホームへダッシュ!すると、アレッサンドリアへ行く電車も遅れていて、無事乗り換えに成功しましたとさ。(ってどんな国だ?)
ヴォゲーラからアレッサンドリアまで30分くらい、アレッサンドリアで再び乗り換え、そこからアックイ・テルメまでがさらに30分の道のりでやっと到着。ふう〜・・・(それでもこの日はバスを使わなくて済んだのだから、後で思えばラクな方だったのかも。)
温泉体験は次回にまわすことにして、今日はアックイの街歩き編を。
バーニョ・ヴィニョーニと比べると、ここは街としての機能も備わっていて、何日か滞在するのも良いなあと思いました。温泉療養(日本だと湯治というのか?)しに来たお客さんが、街歩きや、ちょっとした観光もできるような、愉しみみたいな部分も備わった街で、しかもどこかエレガントな空気が漂い(こういうのって、お客さんの層が醸し出すんですよね。)、私はいっぺんで好きになりました。
上の写真の噴水(?)は、温泉の街らしく、水の豊かさを誇るようなデザインで、広場の形も独特でした。
街の中心は、なんと言ってもLa Bollente ラ・ボッレンテと呼ばれる、熱湯と水蒸気が噴き出す場所のある広場。
煮えたぎるとか、沸騰するを意味する Bollente の言葉どおり、ものすごい水蒸気とともに、熱いお湯がとうとうと湧き出ています。
街の人々は、それぞれが瓶などを提げて来て、ここのお湯を汲んで持ち帰り、飲んでいるそうです。まさに土地の人々の生活に根づいた泉、源泉なのです。
もちろん普通の街の広場のように、人々が憩う、何気ない日常の風景がいとなまれている場所でもあります。
そしてバカうまだったのが、このラヴィオーリ。中にはカボチャをつぶしたものが入っていて、それをラディッキオという、赤紫の、普通はサラダで食べる苦みのある野菜を、ワインとバターで似たような変わったソースであえているパスタ。チーズをたっぷりかけていただきました。
うーん、こんな料理見たこともないし、すごくオリジナリティのあるレシピなのではないでしょうか?ほかの店先のメニューを見てもそうだったのだけど、どこの店もありきたりなメニューではなくて、実際注文して食べてみないことには、どんなお料理なのかわからない、というような、???なメニューがたくさんありました。さすがは美食を誇る土地、ピエモンテです。
そして夜のラ・ボッレンテ。幻想的なうつくしさです。
夜もお湯を汲みに来ているおじさんが。(あら、写真を撮る私の影も・・・)