美食のアルバ 1

 ひさびさに、旅行の話に戻ります。アックイ・テルメ(←クリックしていただけるとアックイの記事にとべます。)のつづきを。

 ランゲ地方の中心の街アルバには、今なお中世の面影が残っており・・・とは言われますが、ドゥオーモのある広場なんか、どこか荒涼とした雰囲気(?)すら感じられ、街としては、とてもうつくしいとは言い難く・・・ま、あちこち周っていれば、イタリアと言えど、ときにはこういうこともあります。

 街はイマイチでも、まだ望みを捨ててはいけません!食事に賭けてみましょうっ!何といっても、美食の街ですからっ!

 というわけで、2泊したアルバで、最初の夜に行ったお店。

     

 私たちの行くお店にしては、ちょっと気取った感じの、お洒落なレストランでした。

 お店のインテリアはとってもモダンで、なんだか気遅れしそうですが、じつは全然そんなことなくて、ほっとしました。お店の方も、さりげなくありながら、常に気を配って優しくサーヴしてくださるし。でもぜんぜんサーヴィス過剰なことはなくて、うるさすぎなくて行き届いた感じ。こういうのがプロの仕事なんですね。

 お料理も素晴らしいのです。

 もうメニュー名がなんだったかなんて、失念してしまってますが・・・というより、食べていた時点で、名前なんてどうでも良かった。それくらい美味しかったし、名前がそんじょそこらのメニューにないような、やたら長くて何が出てくるのかまったくわからないような名前でね、おばちゃんにはちょっとムリね。

     

 プリモに食べた、Lasagna croccante なんちゃら、という一皿。(とっても美味しいお店だったのに、前菜をスキップしたことを、今でもモーレツに後悔しています。)メニューから察するに、カリカリしたラザーニャって、どんな料理かしら?と思っていたのですが、ラザーニャをパイ皮のように扱って、その中に、カルチョーフィアーティチョーク)やほうれん草などの野菜を包み、オーヴンで軽く焼いて、バジリコやカボチャのソースが彩りよく添えられたお料理でした。ラザーニャの中にもバジリコのペーストが使われていて、さわやかに広がるバジリコの風味は、絶妙の加減でした!何かが主張しすぎることがないことこそ、本当の品の良さなのかも、と、このお料理を食して感じました。
「こういう品のよいまとまり方って、すべてにおいて、とても大事なことだ。音楽とか、生き方とか、いろんなことにおいて。主張せずに、個性を出す、みたいなこと。」と、この日の旅日記をみると、興奮気味に綴ってあります。


     

 セコンドにいただいたGuancia di vitello stracotto 仔牛のほほ肉の煮込みも絶品!ワインでやわらかく煮込まれたお肉はとろけそうで、うっとり、目を閉じて味わいました。このお肉の下に敷かれてあるのが、お米くらいの粒につぶされたマッシュポテト。このポテトを添えながらいただくのですが、何もかもが計算されてあるはずなのに、数字がまったく見えない、みたいな、これも品の良さなのでしょうか?素晴らしく美味しかった。


     

 調子にのって、ドルチェまでいきました。いろいろ迷った末に選んだドルチェは、Sfoglia croccante con crema di Zabajone e arance ザバイオーネクリームとオレンジが添えられたパイ、と言えば良いですか?(このドルチェの長い名前は、しっかりメモしてありました!)
薄く、はらりと焼かれたパイのような生地は、中が空洞になっていて、それを割った中に、ほんのりオレンジ風味の効いたザバイオーネのクリームと、生のオレンジが入っている、とーっても手の込んだデザート。こういうの、イタリアではめずらしいと思う。

 これまでに行ったレストランの中でも、このお店、ピカいちではないかと思いますが、こんな雰囲気でも、お値段のほうは良心的で、そういう意味でも、安心して行けるお店ですよ。

Osteria dell'Arco
Piazza Savona 5 tel.0173 363974 日曜休

 でもアルバには、こういうレヴェルの高い店がたーくさんあるんだろうなあ。
 今度は、2日目の夜に行ったレストランをご紹介したいと思います。