バルバレスコ村 1

 夕方、梅雨入りした、とニュースで報じていました。その途端、すごい雨になっています。しばらく続くうっとうしい時間を、どうやったら気持ちよく過ごせるのか、出来るだけ前向きに、テンション落ちずにいきたいものです。   

     

 帰国から時間が経ってしまいましたが、まだ春の旅行の話が途中のままですね・・・記憶が薄れないうちに、書き終えたいのですが。(汗)

 あまりにアルバで退屈してしまったので、アルバの観光案内所で、どこか近くに見どころのある街、それも交通機関を使って行ける街はないか、と訊ねたら、Bra ブラくらいしかないね、とそれはそれは不親切に教えてくださり、ほとんど暇つぶしのつもりで、電車でブラに出かけることにしました。

 駅で電車の時間を確認し、しばらく待ち時間があったので、翌日のバローロに行くバスの時間と発車場所を確かめようと、バスターミナルへ。バス会社のおっさんも決して親切ではなかったけれども、とりあえず知りたいことは全部聞けて、再びブラ行の電車に乗ろうと国鉄の駅へ。

 ここで初めて、私たちの乗ろうとしていたブラ行の電車がこの日は運行されていないことがわかり、次の電車までは恐ろしく時間が空くことからブラ行を断念。時刻表を見誤るなんて、かなり初歩的なミスです。

 仕方なくホテルへ戻り、ではどこへ行くか?と話はふり出しに戻りました。本当は夫、アルバからそう遠くはない、バルバレスコ村へ行きたい気持ちがあったのに、交通手段がないことから一旦はあきらめたのですが、こんなことになってしまって、バルバレスコ村が再浮上。だったらケチくさいこと言わずに、タクシーで行けばいいじゃん!フロントで訊いてみよう!ということになりました。

 フロントのお兄さんに電話してもらい、タクシーの運転手にバルバレスコ村までの値段を訊いてもらったところ、25ユーロ。いいじゃん、もうこの際、行っちゃえば?!二度とこんなところまで来れないかもしれないのに。

 というわけで、あっという間にタクシーがホテルに到着し、乗ってしまえば15分くらいの距離で、ついさっきまでブラに行くつもりだった私たちは、なぜかバルバレスコの静かな村に降り立ったのでした。

     

 ワインの知名度からすれば、信じられないほど小さな村・・・メインの通りが200メートルくらいの長さでしょうか?ワインを醸造したり販売するカンティーナは何軒か目に入りますが、お店という店もなく、ちょっとこだわった雰囲気のレストランが一、二軒、あと有名なGaja ガイヤ本社もこの通りに。

 そのメイン通りの端っこに、上の写真、バルバレスコ村が運営するエノテーカがあります。元の教会の姿をそのまま生かして改装したエノテーカ。イタリア人のこういう発想って、素晴らしいなあと思います。

     

 中の様子はこんな風。ちょうど祭壇だったと思われるあたりに、カウンターが設けられており、ワインの試飲、購入ができます。教会でしたから中はとても広い空間で、テーブル、椅子がゆったりと置かれ、時間をかけてワインをいただける、というわけ。村やワインについてのいろんな資料や、展示もされていて、博物館、観光案内所の役目も果たしている場所でした。

 このエノテーカを出て、目の前に延びるメイン通りを突き進んだ先にあるのが、下の写真の教会。

     
 ちょうどお昼も近かったので、この教会のすぐ奥にあるトラットリーア(写真右奥の黄色い建物。)で、軽く食事することにしました。(ここ以外に開いてるお店が一軒くらいあったかな?ホントにそれくらいの規模の村なのです。)


     

 気持ちのよいお天気でしたので、外のテーブルでいただきました。すっごい静かで、小鳥のさえずり、そよ吹く風が心地いい。夢のような時間でした。


 いただいたお料理は・・・

     

 自家製サラーメと3種類のオムレツ。サラーメはものすごく新鮮で美味しい。不純物いっさいなし、みたいなの。オムレツは野菜が入っていたり、ハーブが入っていたり。あまりに美味しくて、何が入っているのか、お店の人に訊いてしまったくらい。こういう時にもったいぶらずに気さくに何でも教えてくれるイタリア人、懐の深さを感じます。

     

 これも絶品だった、バルバレスコのワインのリゾット!飲んでとびきり美味しいワインをふんだんに使ったリゾットですから!!まずかろうはずがありません!!!

 アルバの街で食事した時もそうでしたが、このバルバレスコのトラットリーアも、何でもない感じでめちゃめちゃ美味しい料理を出すのです。こういう料理を出すお店って、ローマやミラノなんかの大都会だったら、星がついていたり、目が飛び出るほどの値段設定がしてあったりするのでしょうが、そんなお店が、この地方には普通に、あたり前のようにいくつも存在して、良い食材を使って、ていねいに美味しいものを作り出しているのです。

 美食の街は、いたって健全な土地でもあります。