トリエステのありえない

 昨夜、お世話になっているミラノの知り合いの方からメールがあり、用件のほかに、ところで、うちの夫の退職後はイタリアに来るのだろう、こちらに家を買うのか?買うのならば留守の間は賃貸に出せば良いし、そうなったら自分を掃除のおばちゃんとして雇ってほしい、というようなことが、冗談半分で書かれておりました。どういうわけかいろんなところでこのような噂が流れているようで、それは私たちの耳にも入ってくるのですが、どれもこれもがガセネタであり、私たちもそうしたいのはヤマヤマだけれど先立つモノがない、ずっと日本でいると思う、と、どの方にも同じ説明をしてまわっている次第です。

 さて本題へ。ってたいした内容でもないけれど。

 とっても風が強くて寒かったトリエステは、夕食を食べに出るのも億劫になり、しかし食べないわけにもいかないので・・・で、ガイドブックに載っていたお店が、ホテルのすぐ隣の通りにあることがわかり、もういい、そこで、となりました。

 普通のレストランっていうか、家族経営っぽい食堂のようなお店で、私はここのお店、好きでしたけど。びっくりしたお料理がこちら。

       

 上に乗っかっているのは、牛肉の煮込みグーラッシュ。東欧っぽいですよね。そしてその下にパスタが敷かれてあるのに大注目です。スパゲッティに見えますが、穴の開いたブカティーニでした。

 オーストリアなんぞに支配された何世紀にも及ぶ長い日々を、屈辱的な思いで過ごしていたであろうトリエステの人々が、自分たちのアイデンティティーを守るがために、グーラッシュにパスタを付け足すことを思いついたのではないか?(どうせなら、肉の上からパスタを乗せて、見えなくしてやるくらいでも良かったぞ。)と私は考えてしまって、このなんとも見た目が下品な料理、とても味わい深ーくいただきました。第一印象は良くないですが、ほんとに美味しかった、でもお上品な人はびっくりたまげちゃうと思いますが。

 そのグーラッシュパスタのお店を出て(余談ですが、夕食には、海辺の町に来たのだから魚介類を食べたいと思っていた。が、天候不順で魚が上がってません、と断られ、だけどその理由も、なんだかウソがなくて好感が持てた。冷凍品を出されるの、イヤだし。)、風も強けりゃ雨も降るなかを、大勢の人が通りに立って、手をたたいたり、声をかけたりしているので、いったい何があるのかと思いましたら!

     

 夜の9時をまわっていたと思います。なのにこの街の人は、天気の悪い夜に、マラソン大会をやっているのです。通りに集まっているのは応援の人たちで、そのなかの一人の説明によれば、このマラソン大会、なんと犬と一緒に出場する、という、もう何が何やらさっぱり意味不明のもの。

 というわけで、写真がすべてブレブレなのは、ご容赦くださいね。

     

 雨風のなか、選手たちはみな、自分の飼い犬とともに疾走してゆきます。

     

 わけがわかりません。こういうことをふざけてやっているのかと思えば、走っている人も、応援している人も、みな真剣そのものなのです。たまーに犬を連れずに、一人で走ってきた人には、まわりからブーイングが起こってました。ちなみにこの大会、この日が記念すべき第1回目ということで、今後、第2回以降も企画されるのかしら?

 やっぱりこの国は、アホだ。