ミラマーレ城

 このバカ女(←私のことです。)は、ひょっとしたら今年3回目のイタリアに行くのではないかしらん?と、自分で自分に不安になっていました(毎日、飛行機の空席状況をチェックしていたので。)。でも来年の春に時間が取れることがわかり、これで今年はやっとあきらめがつきました。昨夜のことです。年末の飛行機の空席が、日に日になくなっていくのを横目にひやひやすることはこれでなくなりましたが、近いうちに春の航空運賃も出てくるのではないかと思われますので、最安値のチケットをゲットすべく、ネットチェックはやはりこの先も毎日怠ることはできません。

 話をトリエステの旅に戻しましょう。

 ええっと、トリエステに着いた日は、風が強かったんですよ。で、めっちゃくちゃ寒かったのでコートまで買っちゃったんですね。そんなお天気にやられて、すっかり身体も気分もめげてしまい、翌日はストップ・アンド・ゴー(Stop and Go)に乗ることにしました。

       

 このバスに乗りたかったのです。ちなみにストップ・アンド・ゴーという名前は正しいかどうかわかりません。ローマでこのテの観光バスを見たときに、確かストップ・アンド・ゴーと車体に書かれていたはずで、それを見て私が「あれに乗りたい!」を連発しているのに夫からの許可が下りず、それからあのテのバスに乗ることは私の憧れとなり、「いつかストップ・アンド・ゴーに乗ってみたいな。」と何度も繰り返すうちに、うちではこういうバスはストップ・アンド・ゴーという名前で呼ばれるようになりました。

 ストップ・アンド・ゴーは、最近ではいろんな街に導入されているように思いますが、街の主な観光名所に停まりながらコースを進むのですが、普通の観光バスのように観光している間、バスが待ってくれているわけではありません。乗客は、自分の降りたい観光場所で降りて、自由に見てまわって、また次にやってくるストップ・アンド・ゴーに乗り込み、別の観光場所へ。そこでも自由に降りて見て回ったら、またまた次にやってきたストップ・アンド・ゴーで次の目的地へ・・・という風に、ま、バスの時間に合わせて動くことにはなりますが、降りる場所で迷ったり、無駄な動きはなくなるので、そういう意味では便利な乗り物かもしれません。

      

 2階建てで、2階の席はオープンになっています。(冬は寒いかもね。)日本語はありませんでしたが、イヤホンで停車する場所や、街の説明などが聴けるようになっています。トリエステのストップ・アンド・ゴーは、ちょうど泊まっていたホテルの目の前が発車場所だったので、疲れていることもあったしこれに乗っちゃうことにしました。

 切符はバスに乗ってから買います。2日間乗り放題で18ユーロ。「私、今日しか乗らない。」と言ってみたら、15ユーロにまけてくれました。(かえって割高になったのか?)

 目指すはミラマーレ城。地図を見たら街からちょっと離れてそうだったので、乗ってるだけで連れて行ってくれるはずのストップ・アンド・ゴーに頼ることにしたのでした。ついでに他の名所にも停まりながらなので、街の地理みたいなのもつかめて来ますしね。時間があったら、とりあえず一回最初から最後まで、どこにも降りずに乗ってみるのも良いかもね。町を離れ始めると、海が見えてきました。

     

 バスを降りるとき、切符を売ったりなどしていた車内の係りのお姉さんが、「ここからお城までは歩いて15分くらい。次のバスは1時間後だけれど、お城のなかや庭を見て回るには2時間はみておかないと。」と教えてくれました。が、2時間も、そんなにじっくりはぜったい見ないなあ・・・と思いながら歩き始め、私はやっぱり1時間後の次のバスに乗るんだろうなあ・・・とぼんやり考えていたのですが、なんと!!何がお城まで15分やねん。しっかり30分はかかる道のりです!とてもじゃないけれど、次のバスはムリ、と歩き始めて、初めてバス停からお城までの遠さを知り、愕然としました。ちなみにストップ・アンド・ゴーではなくて、例えば駅から普通の路線バスに乗ってミラマーレ城まで向かう場合も、バス停はこのストップ・アンド・ゴーで私が降りたバス停と同じだったので、普通のバスで行かれる方も、しーっかり歩かないといけないことは覚悟しておいてほうがいいと思います。

     

 あのずっと向こうに白く見えているのが、お城の入り口の門なのです。門をくぐったからと言って、お城は全然見えてきません。まだまだずーっと、ずーっと遠く。

     

     

 前日は寒い寒いでしたが、この日は昼間、比較的気温が上がり、こんなふうに海辺で寝そべっている人がいたのです。私も水着、着てきたら良かったなあ、と後悔。(ちなみに私、イタリアに行くときは季節を問わず、水着持参です。どこかで突然温泉に入ることになるかもしれない、という期待もあるので。)

 海の水もとてもきれいでした。

     

 それにしても・・・遠い・・・見えては来たけど、いっこうにたどり着かぬ。

     

 ほんとにしっかり30分かかりました。一緒にストップ・アンド・ゴーに乗っていた人たちからも、「どこが15分じゃ・・・」という文句が聞こえてきましたから。
 ともあれ、やっとミラマーレ城到着。


     

 ええと、この白亜のうつくしい城はというと、1856年から1860年にかけて、ハプスブルグ家のマクシミリアン大公によって、愛妻カルロッタのために建てられたもの。が、彼がここに住まうことはなかった。ナポレオン3世治下で、メキシコ皇帝として赴いたメキシコで、1867年、マクシミリアンは処刑される。この城に一人残された妻のカルロッタは発狂。とても華麗なお城だが、今でもカルロッタの幽霊が出るとか出ないとか、そんな伝説もささやかれているようですよ。こういうお城に不幸な伝説って、なぜかつきものですよね?それとも私ら貧乏人の、単なるひがみ?

 お城正面のお庭も素敵。

     

 庭を含めてのお城の眺め。

     

 写真がありませんが、中も見学できます。たくさんある部屋から部屋へと歩きながら、展示してある豪華な調度品、家具、陶磁器などを見て回れる、博物館みたいになっています。

 お城の向かいは、広大な庭園となっており、遊歩道があったりしてお散歩に良さそうでしたが、いやはや、ここまでにものすごい距離を歩いており。しかも帰りにまたバス停まで、同じ距離を歩かなければならないことを考えたら、とてもじゃないが散策しよう、などという気は起りませんでした。

 でもお城のまわりを歩いてまわるだけでも素晴らしかったですよ。

    

 こんなに大きなお城に住みながら、哀しい日々を送ったシシーことカルロッタのことを想っていたからか、このあと、ヴェローナの書店でシシーの本を見つけたので求めました。あのうつくしい城を思い出しながら、秋の夜長に読書など・・・

 ちなみにこのあとは、またまたバス停まで足を棒にしながら歩き、バスを降りたときから数えるとちょうど2時間後のストップ・アンド・ゴーに乗って帰りました。2時間かかる、という点においては、お姉さんの説明に間違いはありませんでした、はい。