未完成

    

 ボローニャの街の中心となるマッジョーレ広場に面して建つ、サン・ペトロニオ聖堂。街のシンボルともいえるこの立派な聖堂、前回ボローニャを訪れたとき(たしか2011年夏)に修復中だったので、たぶん今回もまだ修復中なのでは・・・という私の期待(!)にしっかりと答えてくれて、やっぱり幕がかかってありました。

 イタリアの修復中の建物は、ご覧のように、実物がどういう色、形をしていて、どういう姿で本当はそこにあるのか、かかっている幕に本物そっくりの絵を描いてくれているのです。イタリアに行って間もないころは、この黙って説明してくれているような幕を見て、「まあ!なんと親切な国!」と感動すらしたものでした。が、だんだんこの国に慣れてきて、こんな私でもこの国のいろんな事情がわかってくると、そんなに素直に喜んだりはしなくなります。絵の描かれた幕で覆われることに甘えてしまって、作業時間が年単位になっていくのか、あるいは最初からさっさと作業をする気などない彼らも、さすがにただ隠しておいただけでは観光客らからクレームが来ると思って、こんな暇くさい小技を思いついたのか・・・ともかく、仕事はぱっぱとやろうや、ぱっぱと!と、先日、このボローニャの聖堂の前に立ったときも思いました。どうか死ぬまでに、一度でいいからこの目で、このサン・ペトロニオ聖堂の幕なしの姿を拝みたいものです。

 しかしガイドブックによれば、この聖堂のファサード、14世紀末に建築が開始され、今も未完成、とあります。

 なんや、どっちにしても未完成か。