Santarcangelo di Romagna

 最近、なぜかブログに向かう気になれない。やめちゃうかもな・・・と心のどこかで思いつつ、今日は春の旅行記のつづきを。つづきというか、どこまで話が進んでいたのかも、もうよくわからないのだけれど。

 フェッラーラのあとに訪れたサン・マリーノに住む知り合いに、素敵な町があるから、と連れて行ってもらった場所。サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャといいます。イタリアには、ガイドブックなんかには載っていなくとも、小さな宝石ののようにうつくしく、愛らしい街や村が、それこそ無数にあると思います。多くは交通の便も悪く(だからこそ、素敵な姿のままに残ってこれたのでしょうが。)、知識も情報もない私のような外国人が自分で訪れるのは不可能で、こうして現地に住む人に連れて行ってもらわなければ、生涯、縁のないままであっただろう場所を、自分の足で踏むことができた幸運と、何より優しい友人に感謝しつつ。

     

 お昼ごはんを知り合いのお宅でごちそうになり、その後私達がいったん宿で休息をとってから夕方に出発したので、もう日も傾きかけたころにサンタルカンジェロに到着。晩ごはんを食べる前に、街の散策でも、と。上の写真の、塔のあるところをめざして、はあ、上り坂です・・・

 藤の花の咲く季節でした。

     

 小さな町なので建物も低く、かわいらしい石畳の道を歩くのも楽しく。

     

 歩いていると、「ほら、あの山のうえに見えているのがサン・マリーノ!!」と知り合いが指をさし、「撮れ!撮れ!」と、なかば強引に写真を撮らされ・・・↓

     

 すごい愛国心ですっ!

     

 塔が見えてきました。

 そして、イタリアを旅していて、私がとても幸せを感じるのは、夕刻から夜へと、ゆっくりと暮れていく街の様子や空の色のうつくしさにうっとりとする時間。

     

 日本だと、こういう時間を感じたり愛でたりすることは稀で、本当にあっという間に日が沈んでしまっているのか、それとも自分自身の心に、こうした時間を味わう余裕がないせいか・・・


     

 途中、こーんな↑素敵な道を発見し、すごく行ってみたいのだけれど、時間もないし、もうすぐ日も暮れちゃうし、写真だけ撮ってあきらめる。

 そしてやっと、塔着、じゃなくて、塔に到着。

     

 う〜ん、イタリアの青い空と、この塔の色のコントラスト、本当にうつくしい・・・

     

 町のてっぺんにある小さな通り。このあたり、冬は雪もすごそうですね。で、この通りを歩いていたら、小さな教会からテノールが聴こえてきてですね、レッスン中のようなのですが、歌の出来はともかく、レッスンしているマエストロは自分の知り合いに違いないと、知り合いが申しまして、閉まっていた教会のドアをバンバン叩き始め、中に入れてもらう一幕があり。やっぱり思っていたとおり、マエストロは知り合いだったそうで、その奥さまが一緒にいらっしゃったのですが、なんと日本人の方で、「こ、これはどうも、初めまして・・・」と、何だか妙な挨拶になり、奥さまの方も、突然開いたドアからいきなり私達日本人二人が入ってきたので、何がなんだかわからずびっくりされていて。突然の出会いでした。

 立派な城塞もありました。

     

 あとはまた、下へ下へと道をくだり、夕食のレストランへと。
いろいろ美味しいものを頂きましたが、ワインの向こうに見えるピアディーナという、粉の香りがとてもいい薄焼きパンみたいなの、これがこの地方の名物で、シンプルだけれど、私には大ご馳走でした。

     

 食事のあと、外に出ればもうとっぷりと夜は更けていましたが、すっかり日が落ちてからは、ライトアップがまた素敵で、なんとまあ贅沢な夜でありましょう。

     

 うっとりと立ち尽くす知り合い親子を、後ろからパチリ。

 こうやって人に連れて行ってもらった場所って、もう二度と自力では行けないものですけれど、それだけに、時間が経つと夢で見た場所ではなかったかと錯覚しそうにもなるのですけれど、そんな旅もいいものだな、とこの頃は思います。