ローマの噴水

 ひさびさに訪れたローマの印象は、とてもエネルギッシュで強烈なものでした。日差しも強いし、空の色とか植物の緑とか、光の加減なのかもしれないけれど、あらゆるもの色彩が、明るすぎてまぶしすぎて・・・そのせいか街のパワーも、そしてそこで生活する人々のパワーも、ミラノなんかより凄いのです!「こ、こ、腰が・・・」などとのたまう軟弱者には、それらの発するエネルギーを受け止めるだけの体力、気力がなく、頭がクラクラするわ、何だか尻ごみするわで・・・

 夏のローマは初めてではありませんでしたが、改めてこの季節にはこんなに観光客が多かったか、ということも驚きでありました。地図を片手に、みなさん元気であちこち歩きまわっているご様子でしたが、お昼を過ぎるとさすがに暑さも厳しく、私は外を出歩くのも控えたい感じでありました。そんなぎらぎらとした夏の午後、街のなかで小さな泉や噴水が目につくと、何やらほっとしたものです。

 どこで見つけたのかももう覚えていないけれど、優雅な雰囲気の泉。

     

 柵がしてあるので、ここのお水は飲めないかも、ですね。どっちにしろ、おなかがとーっても弱い私はぜったいに生水を飲んだりしませんけど(笑)でも冷たい水を触るだけでも、夏は気持ちいいかもなあ。

 Palazzo Farnese ファルネーゼ宮の前の広場にあった噴水も、とても記憶に残りました。

     

 ファルネーゼ宮は、現在はフランス大使館として使われている場所ですが、ここはプッチーニのオペラ「トスカ」の第二幕の舞台となったところなのです。

 ちなみファルネーゼ宮の全体はこんな感じ。(って大きすぎて全部は入らなかったのだけれど。)↓↓↓

     

 で、なんでこの噴水が記憶に残ってしまったかというと・・・

     

 私、腰が痛くて歩けず、なんとここでダウン。ファルネーゼ宮のベンチ(いや、ベンチではないけれど、ここをベンチがわりに休む人多数。近くのカンポ・ディ・フィオーリの市場で買ってきたであろうスイカにかぶりつく人なんかもいて、私のこの恰好がひどく目立ったり、ヘンに思われたりしないのがイタリアの良いところ。)で、しばらく横になり回復を待ちます。せっかくなので(?)その姿を写真に収める夫に、「顔は撮らんといて〜。」の図。こうして休んでいた目線の先に、優雅なバスタブ型(?)の噴水があったので、しっかりと脳裏に焼きついてしまったのでした。角度を変えて撮った方が、この噴水の形がよくわかったのに、すみません。すぐそこ、なのに歩けなかったこの日の私。(後日、夏の野外オペラで有名なカラカラ浴場を訪問しましたが、このファルネーゼ宮の前の噴水、カラカラ浴場から運んだものだったのですって。)同じ形の噴水がもうひとつ、広場の反対側にもあり、対になっています。

 つづいて、これはレプッブリカ広場にある噴水。ナイアディの噴水、というそうです。

     

 20年ももっと昔、私が生まれて初めて降り立った外国が、ローマでした。テルミニ駅西側の、今回泊まったのとほとんど同じエリアに宿を取り、そこから少し歩いて、円形に広がる広場とこの噴水を見たときに、「うお〜っっ!!!ヨーロッパに来た〜〜っ!!!!」と、震えるほどの喜びと感動をおぼえたのが、この場所でした。そんなことを懐かしく思いながら、パチリ。

 つづいて、ここはもうあらためて言うまでもありませんが・・・

     

 有名なトレヴィの泉も、毎回ローマに行った折には訪ねることにしています。数え間違えてなければ、この旅でローマは10回目のはずだった私。それもこれも、後ろ向きになって背中越しにコインを投げ入れるとかならずやローマ再訪が叶う、というあの言い伝えを本気で信じていて、行くたびに真面目に実行しているからだと、確信しています(笑)ローマに行けば、ぜったいやっておかなければいけない、私の大事な儀式です。

 それにしても、ここはホントにすごい人で・・・

     

 人をかきわけて泉のそばまで降りていくこともさっさとあきらめ、すんごく遠くから、「えいやっ!!!」とコインを投げて、この日は任務完了いたしました。朝早くとか、人の少ない時間を狙って行く方が良いと思われます。

 そしてここほど、何度行っても道がよくわからないという場所もありません。この日もバルベリーニまで地下鉄に乗り、そこからやってきたミニバスに適当に乗ってしまったら、トリトーネ通りを走っていたバスがスペイン広場方向に延びる路地に入ってしまったので慌てて飛び降り、そこから地図を片手に歩いて無事到着。いつもかならずたどり着けはするのですが、日によっては、思っていたのとまったく違う方向から着いてしまうこともあり、「なんで?」と、この付近の地理が、いつまでたっても苦手なのです。しかし毎回行かなくてはならない場所のこと、どうしてもっとわかりやすいところに造ってくれなかったか、と、今回も愚痴を吐きました。

 この有名な場所もそうですが、バロックの時代の建造物が多く残るせいでしょうか、とても饒舌な街、というのが、おおざっぱだけれど、私のローマの印象です。

 今回の旅では、ホントにずーっと腰の調子が悪く、あそこもここも行くのをあきらめた、ということの連続でした。コルセットを持っていってたので、街へ出るときには必ずコルセットを巻き、ぼつぼつとゆっくり歩きました。最初は人目が気になり、服の下に巻いていたコルセットも、なんだかローマというカオスの中に身を置くと、恰好が悪いとか、恥ずかしいとかいう感覚がマヒしてきて、人からどう見られようがかまわない、というより、誰も私なんか見ちゃいない、と思うようになり、コルセットも堂々と服の上から外巻きで、あちこち歩きまわるようになりました。コルセットを服の内側に巻いていた当初は、服の下からコルセットがちらっと見えたりすることすら気にしていたのですが、段々と大胆になり、というかどうでも良くなり、やがてコルセット外巻き状態にまでなってしまった私を、最初は、「ええーっ?!そんな大げさな恰好で歩くの?」と嫌そうにしていた夫も、そのうち「なんかだんだんその恰好が、すごくステキに見えてきた。」と、ワケのわからないことを言うようになりました。(それはない。)

 また、コルセットを外巻きにしていて良かったことは、電車に乗るとき、スーツケースを持ち上げようとすると、近くにいた(夫ではない)男性がさっと手を差し伸べて、あっという間に電車に載せてくれたことです。(イケメンならなおのこと良し。)今後も、電車の乗り降りの際だけでも、コルセットは外側に巻き、素敵な出会いに期待したいと思います。