サンタ・キアーラの回廊

 エアコンの工事が終わりやれやれ、と思っていた矢先、つづいてファックス付電話が壊れる。しかしこれはまあ仕方がない、なんせ二十年近くも使っていたので。夫が「老衰やな。」と言う。しかし壊れているのに気がついたのは昨日であるが、考えてみるとここ何日か電話などかかってきていないように思うので、果たしていつから壊れていたのか、今となってはわからない。(孤独死やな。)
困ったのは、こちらから電話をかけることはできるのだけれど、かかってきたときにとーっても小さな音でしか鳴らなくなったので、気がつかずに電話に出ることができないこと。留守電機能も壊れたらしいので、かけて来た人はメッセージすら残せないこと。おまけに我が家は電話とインターホンがつながっており、いらした方がインターホンを鳴らしても音がしなくなったので、こちらは来客にも気がつかないこと。とりあえずは音の出なくなったインターホンの上に、「故障中 ご用の方は、さけぶか、ドアをたたいてください」という張り紙。

 話はかわって、先日テレビで観たナポリの街を散策する番組。撮影された季節がおそらく冬で、おまけに雨まで降っており、紹介される景色がいずれもさびしく、残念な結果に・・・

 そのなかに出てきたサンタ・キアーラ教会を見て、そういえば行ったんだった、と思い出し。昨夏のことです。

     
    

 有名なナポリの下町スパッカ・ナポリの界隈にある大きな教会ですが、目指すは教会そのものではなく、教会付属の修道院の中庭であります。上の写真は中庭のある回廊から教会の方向を。

 色鮮やかなマヨルカ焼で装飾された回廊を見学します。

    
    

 南イタリアの太陽そのもの、とでもいうような、気持ちまで明るくさせてくれるみごとな色彩。花のモチーフや風景、田舎の情景などが描かれた陶板のタイルで張られたベンチがずらーっとならびます。教会にあるのに、庶民の生活の様子みたいなものを描いているのがめずらしい、というようなガイドさんの話にこっそり聴き耳をたてながらの見学。

    
    

 中庭の中心を十文字型に小路が通り、そこにぶどうの絵が描かれた柱が配されています。

    
    

 ベンチになっているのですが、今は座ってはいけないことになっています、見るだけ。

 じつはこの美しい回廊を訪れたかった理由が私にはあって、というのはこの場所は、Munasterio e' Santa Chiara というカンツォーネでも歌われており、どうしても一度見てみたかった、というのがそれ。私個人はこの曲をとーってもうつくしい名曲だと思うのですけれど、なぜか日本ではまったくと言っていいほど歌われません。日本のテノール諸氏、ぜひに!