グレーヴェ・イン・キアンティ 1

 「グレーヴェ・イン・キアンティへは、フィレンツェからバスで、意外と簡単に行けてしまう。」というような一文を、ある日、ロンリープラネットのなかに見つけたとき、「今度、グレーヴェ・イン・キアンティなんか、どうよ?」という言葉を夫に投げたら、シッポ振りながらついてくる犬みたいになったので。たったそれだけのいきさつで決定してしまったグレーヴェ行き。ま、ワインを生む土地を挙げて、反対されることなんて絶対にないのですが。

 フィレンツェの駅のすぐそばにある、SITA 社のバスターミナルから出発です。(シエナサン・ジミニャーノなど、いろんな街に行くバスがここから出ます。)前日に、グレーヴェへ行くバスの時間を、SITA のインフォメーションで聞いておいたのに、当日行ってみたら、どこにもグレーヴェ方面へのバスの表示が出とらんがね。鼻息ブンブン、前の日と同じインフォメーションに入っていったら、窓口に居た人も同じ人だったので、「ちょっとっ!あんたっっ!!グレーヴェに行くバスなんかどこにも出とらせんがね!教えてくれた時間、間違えとりゃせんのっ!!」(←最近、こういうことがすごーくすごーく腹が立って、まわりの目なんか全然気にならずに、どれだけでも怒れるのは、オバサンだからですか?)くらいの勢いでまくしたてると、「どこにも書いてなくても、ここのすぐ前の、3番のところで待ってればバスは来るよ。」とおじさんは落ち着いて言うので、仕方なく言われたとおり待っていたら、最後までグレーヴェ行きの表示はどこにも出ずに、だけどちゃんと、バスは遅れてやってきて、何も言わずに出発したわっ!私たち以外の乗客たちは、どうして何も書いてなくても、アナウンスも何もなくても、インフォメーションに「おら、おら、おら〜!」と殴りこみをかけなくても、ちゃんとその場所がわかって、自然と集まって来れるのか?このヘンのイタリアのカラクリというか、暗黙の了解というか、あうんの呼吸みたいなものが、旅人の私にはまだぜんぜんわかりません。出来たら旅は、おだやかに、上品に行きたいものでございますわ。

 さて、バスに乗れてしまえば、50分ほどでグレーヴェに到着。(「意外と簡単」という言葉を鵜呑みにした私には、「意外と難し」かったバス移動。)フィレンツェから、日帰りでも行って帰ってこれる距離ですね。なのに私たち、ここに2泊しました。

     
 街の中心は、マッテオッティ広場。この広場は三角形という、なかなか特徴的な形をしているのですが、私の写真ではそれがわかっていただけるか、微妙ですね。
広場に立つ像の人物は、ジョヴァンニ・ダ・ヴェッラッツァーノ。
     
この人は、このグレーヴェの出身で・・・えっと・・・たしか、ハドソン湾を発見したコロンブスと一緒に航海に出て、その後ここに戻ってワインを作ってえらく成功した人、とかじゃなかったかな?(違ったらごめんね。)Verrazzano なんて、キアンティでは一番、くらいの銘柄らしいですしね。フィレンツェにヴェッラッツァーノのお店もあるそうですよ。

 この広場がすべて、と言ってしまえば、たしかにそれまで、という感のあるグレーヴェですが、日常のごちゃごちゃや雑音から離れ、こういう小さな街でのんびりすることこそが旅の醍醐味、と思っていますので、私はけっして退屈なんてしません(笑)
だーい好きなカゴのお店もありました。まだまだ旅の初めですから、荷物になるので、ぐーっとガマンして、買うのをこらえました。が、今思えば、買っといたら良かったかもなあ。荷物になるなら、頭にかぶって歩くことだってへいちゃらなくらい、カゴが好きなのに。
     

 三角形の広場を、ぐるーっとレストランやお店が取り囲んでいて、ポルティコがめぐらされていますから、雨でも安心、ね。ポルティコは、柱廊と訳されるのでしょうか、建物の軒が屋根つきの通路のようになっているので、雨でも濡れずにお買い物などできます。(cucciolo さんの旅では、雨対策、重要ね。)
       
写真は、夜のポルティコ。なかなか素敵な雰囲気でした。

 で、ええと、グレーヴェはワインの街なのでした。グレーヴェだけでなく、この辺一帯のキアンティと呼ばれる地域には、カステッリーナ・イン・キアンティ、ラッダ・イン・キアンティなど、他にもグレーヴェと同じように、キアンティワインで有名な街があります。グレーヴェが一番フィレンツェから近いので、私たちはここを選びましたが、カステッリーナなんかも、ホテルやお店など充実している街だそうなので、ホントは行ってみたかったのです。車があると、一気にまわれますけどね、運転は怖いのでね。

 お墨つきのキアンティワインに貼られる、有名なガッロ・ネーロ(黒い雄鶏)のマーク。街のなかでも、いろんなところで目にしました。
      
      

 美味しかったレストランや、泊まったホテルについては、また次回、ご紹介したいと思います。